ベッドの上の会話

えもーしょん 大人篇 #29

ベッドの上の会話

2016~/カイト・大人

Contributed by Kaito Fukui

People / may.14.2020

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#29
「ベッドの上の会話」
(2016~/カイト・大人)

ねぇ、こっちむいて?

エアコンの風。

揺れるカーテン。

隙間から、光が差し込み

ボクを見つめる君が言った。

「ん? なに?」

振り向くと

キスする君。

「おばあちゃんになったらさ、今言えない秘密とか言うね。言おうね」

「なんだよそれ、今教えてよ」

「ダーメ。すぐ、お腹痛くなっちゃうでしょう?」

「お腹痛くなるけど、教えてよ」

「ダーメ」

と、キスする君。

「いい? 不安な時は、見えない、聞こえない、知らない、関係ない。だよ?」

「そんなこと言われても…」

もう、お腹痛いけど…。

ボクの上に乗る君。

細い、君のあばらが

ボクの肋骨当たっているけど

ボクは、これが本当に好きだ。

「重い?」

と、君。

「全然」

と、ボク。

この匂いが、なんなのか

全然、よくわからないけど

「いつも、いい匂いだよね」

「ふふーん」

と、笑う君。

「かわいい」

と、キスする2人。

いつか、あんな日がやってくるなんて

今の、ボクらは

考えもしないだろう。

凛とした、大人の綺麗な女性が

ポストに届いている。

手紙を見つける。

差出人の名前にハッとして

足早に、家に戻る。

ソファの上で

じっと、手紙を見つめる女性。

どうやら、懐かしいようだ。

封筒を丁寧に、ゆっくり

そぅっと、開けて

中の手紙を広げる。

女性の瞳には

懐かしさと、嬉しさ

その奥に、忘れたくない

悲しさが見える。

ニコッと笑う、女性の頬に

涙が、流れる。

「あれから、もう3年ね。元気にしていますか? きっと、大丈夫。見えない、聞こえない、知らない、関係ない。不安な時も、きっと、大丈夫」

窓の外には

大きな入道雲が。

「くじらみたいだね」

いつか、誰かがそんなことを言った。


アーカイブはこちら。
小学生篇
中学生篇
高校生篇
大人篇

Tag

Writer