えもーしょん 中学生篇 #40
うねりの中を
2010〜2013/カイト・中学生
Contributed by Kaito Fukui
People / 2020.06.26
小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!
#40 「うねりの中を」
(2010〜2013/カイト・中学生)
今にも壊れそうなのは
15歳のボクのメンタル。
不安で朝を迎え
不安なまま、お昼を迎える。
そして、不安な夜を過ごして
朝を迎える。
何もかもが、イライラする。
季節のせいか、恋のせいか
それとも、気のせいか。
「おはよう〜」
道ですれ違った同級生が
白いワイシャツを着て、ボクに手を振っている。
ただ、それだけなのに
イライラしてしまう。
ボクは、あからさまに
気づいてないフリをして
せっかく着た制服を
脱ぐために、家に戻る。
そうだ、今週末は
支部予選だった。
忘れたい、忘れられない。
何もしなくても、週末はやってくる。
そして、大会が始まり
ボクの嫌いな、ホーンが鳴る。
気がつくと、ボクは
青や緑、黄色や赤色の
ゼッケンを着て、戦っている。
ふと、我に戻ると波に乗っている。
理由は、わからない。
サーフィンをするには
どうやら、大会に出なくてはいけないようだ。
そして、それにはやはり
地区ごとの予選があり
全国大会がある。
ボクの嫌いな、支部予選。
なぜって、切符を手にするのは
1人しかいないからだ。
負けると、どうなるか?
1年間、負け犬扱いされるのだ。
綺麗な、順位があるから。
かいとは、2番。
2番のかいと。
去年は、2番だった。
スネしかない、海で
どう、サーフィンしろと言うのか。
立って、終わるのをサーフィンと言うのか?
ボクは、今でも疑問に思う。
しかし、そんな事を言ってはいけない。
なぜなら、2番だからだ。
ちくしょう。
ボクは、他のみんなが立てた
うねりの中を泳いでいる。
プレッシャー、誘惑、騙し合い。
小さな、街の
小さな、コミュニティで
ボクは、金魚のように
小さな、水槽で泳ぎ続けている。
止まれば、食われる。
時に流されることもあるけど
夜を抜けて、朝を見て
うねりの中を泳ぎ続けて
ボクは、いつか
水槽から、トイレへ飛べるだろうか。
トイレから、川へ
そして、海へ行き
金魚から、金目鯛になれるだろうか。
そんな日を夢見て
今日も、不安と闘っている。
えもーしょん。
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Kaito Fukui
1997年 東京都出身 幼少期から波と戯れ、サーフィン、スケートボード、恋に青春。 あの時、あの頃の機微を紡ぐように幾層ものレイヤー重ね描き、未来を視る。 美化されたり、湾曲、誇張される記憶を優しく繊細な浮遊感で!