New kid on the block. #2

部屋とポスターと僕。

Contributed by Ryo Sudo

People / jun.29.2020

anna magazine編集長・須藤亮がステイホーム中に考えたことと、すこしだけ旅の思い出。

#2

近所のホームセンターでフレームをいくつか買ってきた。部屋を整理していたら、子供が小さい頃に描いた絵とか、旅先で手に入れたポスターとか「捨たくないけれど、保存に困る紙モノ」がたくさん出てきたのだ。

改めてポスターやチラシを眺めてみると、そのほとんどは「大量生産」するために制作されているはずなのに、意外にもA判とかB判とかの標準規格ではないオリジナルのサイズにカットされているものが多い。ビジュアルの中身だけじゃなくて、サイズからも、それぞれの制作者の意図が見えてくる。できるだけ大切なビジュアルをなるべくトリミングしたくないとか、他のチラシと差別化して少しでも目立つように、とか。

僕らもポスターやDMなどをデザインする時、ビジュアルを最大限活かすデザインを施すのはもちろんだけど「そのツールの用途に対して最も適正」なサイズや素材を考えるプロセスにかなりの時間を費やすものだ。あたりまえのことだけど、どんな「ビジュアルやテキスト」にするか、どんな「色やフォント」を使うかなどと同じように、「サイズ」もまた表現における大切な要素のひとつなのだ。

そんなわけで、僕の家で「保存に困っていた紙もの」のほとんどは額装マットのサイズに合わない。縦が短かったり、横が長すぎたり。そこで、どうするか。多分センスがいい人なら、サイズに合わせて自分でオリジナルのマットを制作するだろう。でも僕は自分で手に入れた作品に対してそこまで誠実じゃないし、「だいたい」で構わないと思っている。それにそもそも、不器用だ。プラモデルも完成したはずなのに部品が余ってたりね。



というわけで僕はお構い無しに、少し小さめのサイズを購入してガシガシ好きなようにトリミングすることにしている。作品にモノを合わせるんじゃなく、どうにかして作品をモノに合わせるのだ。「うんうん、できるだけ広めに撮っといて。画角は後で僕が決めるから!」。ちょっとオールドスクールな広告系アートディレクター気分で気持ちいい瞬間だ。それでも実際に額装してみると、なんだか特別なアートワークに見えたりするから不思議なものだ。



これが絵画やオリジナルプリントだとそうはいかない。「恐れ入りますが、今後ともひとつよろしくお願いいたします」という感じで、なんだか無駄に緊張しそうな気がするし、「あのう、できればあなたの方でサイズを合わせていただけませんか」とはとてもじゃないけど言えそうにない。ポスターとかチラシみたいな「大量生産モノ」は、だから好きなんだ。サイズが合わなくたって、少しぞんざいな扱いをしたって、全然気にならないもの。こんな風に、どれだけカジュアルなスタイルだとしたって、部屋に絵や写真を飾るのは、やっぱりとても楽しいものなのだ。

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