the UNKNOWN #3
ポーカーとローストチキン
Contributed by Miyu Fukada
People / 2023.12.27
#3
12/18
9時頃起きてグラシアの方へ向かった
冬っぽくなってきて朝はまだ少しひんやりしている。
朝の斜めに差す太陽の光が作り出す線が好きだ。
目的地の駅で降りると見慣れない場所のように思えた。
annaで取材させてもらったバレリアの新しい家へ向かっていた。
annaで取材したのは前の家
新しい家はメゾネットで各部屋にテラスが付いているくらいの勢いで家面積と同じくらいテラスのスペースもありそうなほど広かった。家の中は全てリノベーションしたらしい。
雑誌を無事届けてまた駅へ歩いた。
ん? 見覚えのある景色。
行きはわからなかったけど帰りの角度からだとわかった。グラシアに来た時にたまに通る公園のそばだった。辺りは綺麗にされて全然わからなかったのだ。
家に戻って気の乗らない翻訳の仕事を超集中して終わらせた。
仕事の内容はというとポーカー動画の英日翻訳をしているんだが
ロバートハリスがポーカーで
旅の道中にポーカーで旅費を稼いだと読んで
この仕事でポーカーのルールを覚えて
翻訳でお金ももらえれば一石二鳥だと思って始めた。
蓋を開けるとポーカーはすごい複雑で難しく
これでお金を稼ぐようになるのは程遠い気がした。
12/19
今日は最高気温17度
日向にいるとポカポカと暖かい。
次の翻訳依頼まで仕事はないので久しぶりの予定のない日。
アムステルダムに住む日本人の友達にロンTを送りに郵便局へ。
スペインの郵便局は行けば長蛇の列だし容量が悪いイメージ。
そして送られてきた荷物には99.9%関税がつくし、なおかつ航空便なのにスペイン国内についてから1ヶ月以上かかるのは在スペインの日本人なら周知のことだと思う。
でも今日行った郵便局は空いていてしかも受付のお兄さんも容量よくものの3分ほどですぐ用事は終わった。
一個謎だったのはオランダまでどのくらいで届くのか聞いたら
「un poquito」(少し) と言った後に10~15日と言われた。
全然ちょっとじゃなーーーい。まあ、これがスペインクオリティー。
用事も終わり家に帰る前に生でも飲んで帰ろう。
今回滞在してる家の近くにあり、住んでいる時からよく行っていたカフェ/バーのテラス席でビールを飲みながらこれを書いている。
現在16:26
夕陽とはまだ言えない太陽が綺麗なオレンジ色の光で街を照らしている。
まだまだ明るい。
さて彼の友達スティービーが彼のやっているスケートブランドのクリスマスBBQに呼んでくれたので一緒に行くことに。
会場があるはずの通りに着くとどこかわからずくるくる辺りを見渡していると
彼に送られてきたインビテーションと同じグラフィックのポスターが
ドアに貼られているのを見つけ中に入ると、
私も知っている友達も何人かいて久しぶり! と嬉しい再会となり話も弾む。
ざっと20人くらいいるだろうか。
知らない人もいっぱいだけど蚊帳の外感覚は全くなく
この分け隔てない感じで楽しめるのってやっぱ最高。
インビテーションカードにポーカー大会をすると書いてあって
気になっていた。
BBQで美味しいイベリコ豚を食べお腹も落ち着いたところで
みんなが奥の部屋に集まっていた。
50ユーロのバイイン(参加費)だという。
プレイしたこともないのにこの数週間で頭に詰め込んできたポーカーの知識が
本当に役に立つのか試したくなった。
そこまで大損する気もしなくて持ち合わせていた自分のロンTの売上50ユーロを叩いて
参加することにした。
最初の方はベットするポイントも10-50くらいで小さかった。
チェック コール レイズなど
仕事で何度もみたゲームの流れを思い出し手札と相談しながらプレイした。
途中から流れがわかってきてブラフで大きく勝った。
でもラウンドが変わるごとにベットするポイントが上がっていき
100-500点に変わると読みがあまくやっぱまだ慣れていなくて負けたりもした。
でもプリフロップでみんなにフォールドして欲しいのに
このパーティーに招待してくれたスティービーは全然フォールドしてこない。
彼との一騎討ち。オールインしてきた。
一番ポイントの高いチップがボードの真ん中にあってどうしてもあれをまた
勝ち取りたい。欲が出た。
よし美佑もオールイン。
結局ショーダウンまで持っていき最後は確かJと7のハンドだったけど
スティービーの方が役が多くて負けた。
初めてのポーカーの体験は
初めてなのにスペイン語でプレイして
でも流れも言葉もわかって楽しかった。
みんなのフォールドやレイズ、などに動じず
初めてとは思えないようなプレイをしていたらしく
良いゲームだったよとみんなが私の大健闘を讃えてくれた。
ポーカーって楽しい。
最終的にはオールイン対決で負けたけど
なんか初めてプレイしたのに流れもわかって
何回か勝てたことが嬉しくて気分は上々 意気揚々とパーティーを後にした。
ロバートハリスのように旅をしながらポーカーで資金稼ぎができるのか?
実際にやってみてそこまで夢のまた夢みたいに手が届かない現実ではなさそうだ。
12/20
起きたら10時。
昨夜のポーカーの興奮が冷めない。
でも色々考えたら負けといてよかった気がしてきた。
だって最初から勝ってしまったら味をしめて調子になりそうだもん。
洗濯機を回して、ささっと朝ごはんを作る。
ほうれん草とベーコンのバター炒めと
スクランブルエッグ
買っておいたクロワッサンを温める。
クロワッサンはこっちだと50円しないくらい。
こんなにクロワッサンを気兼ねなく食べれるなんてはあ、幸せだ。
今夜は、彼がよくスケート写真を撮ってもらってるフォトグラファー、ヘラルドの写真集のローンチパーティー。
その前に、前から行きたかった、
バルセロナに住むブラジル人スケーター御用達の
ドミニカ料理やさんへ。
ご飯の種類とお肉を選ぶ。
私は牛肉と白米、豆の煮込み
テルネラと呼ばれる部位の牛肉が柔らかく煮込まれて
口の中でホロける。
8.5ユーロ
ニジュウマル!
家からすぐのところでこんなに安く美味しいご飯を食べれるのは
最近のバルセロナではありがたい。
お腹をしっかり満たした後
パーティーの会場である近くのスケートショップ
「SOUR SOLUTION」へ向かった。
昨日のクリスマスパーティーで会ったスケーターたちも何人かいた。
みんな昨日と同じ格好のままだった(笑)。
トイレに行くと壁一面に写真
今までの軌跡みたいなのが貼られている。どれもいい写真。
家に帰って小腹が空いて日本から持ってきた棒ラーメンを食べて寝た。
12/21
8:30に目覚ましで起きた。
夜中に変な夢をみて一瞬起きたけどなんの夢かは覚えていない。
ケータイをいじりふと気づくと10時。
うん、もう起きよう。シャワーを浴びた。
昨日の日記をつけようとパソコンに向かう。パソコンの向こうにある鏡に
ちらっと映った自分を見るとマスカラがちゃんと取れていなくて目の下がうっすら
黒かった。
それは化粧水をつけるとなくなった。
まあいいか。
さてここ数日作りたかったほうれん草のキッシュでも作ろう。
起きて自分の好きな朝ごはんを作って、
一緒に食べる人がいるって幸せだな。
一人旅が始まったらこの感覚が恋しくなるんだろう。
3週間後にはブラジルにいるらしい。
12/22
久しぶりに早く目が覚めた
時刻は7:30
朝焼けしそうな空
しばらくすると予想通り綺麗な朝焼け
テラスに行って朝焼けを眺める。
うちの寝坊助さんはまだ気持ちよさそうに夢のなかだろう。
早く目が覚めたので翻訳の仕事に取り掛かる。
寝坊助が起きてきたので昨日作ったキッシュと残りのスープを温めて
朝食。
昼過ぎ。
旅をしているとあれこれ洋服は増やしにくいけど
たまにご褒美でたまに使うであろうアイテムを買ってみたりする。
今回はマスカラ。ボリュームが出るのを日本に置いてきたので
新しく調達した。
それをたっぷり塗った。
そしてコーディネートは
ハイネックのニットに真っ赤なオーバーオール
南米に行くから冬服はフーディ一着
セーター一着 コーデュロイのパンツ一本
だけで着回しすぎて飽き飽きしていたところだけど
今日はゆうみの家でクリスマスパーティーなので
この赤を着ることにした。
日本では真っ赤で派手だからあまり出番はないんだけど
今回は旅でメキシコにも行こうと思っていたので
なんとなくメキシコできても目立ちすぎずよさそうと思って
持ってきたお気に入りの一着。
街に出れば通りはイルミネーションで飾られ
人々も素敵な洋服に身を纏っている。
日本にいれば靴も選べてジャケットも全てその日の気分で着たいものを着れる。
気分に合わせて洋服を決めるのは楽しい。
でも旅を続けていると
結局それは周りがオシャレしてるのに自分が大した格好をできてないことを引け目に感じているだけなのかも
だってこの世にはどんな格好をしていても堂々と歩いている人はいるし周りと違っても自分が気にしなければいいだけなんじゃないか?
外見より中身だと言い聞かせてレパートリーの少ない冬服に飽きながらも
ないなりに着回しをして頑張る。
午後ゆうみの家についてビールを飲みながら
ラザニアの準備
今回のラザニアはパスタではなくズッキーニとナスで作る。
ミートソースにはイタリアンソーセージと牛肉を使うので味がしっかりして
美味しいはず。
ことえも来て女3人でCava(スペインのスパークリングワイン)で乾杯
気付けばゆうみ、ことえと知り合ったのはもうほぼ4年前のこと。
誰も知らずに引っ越してきたこの土地で出会った2人には色々助けられたし
何回も一緒に飲んで色々語り合ったなあと。
ゆうみはすでに結婚していたので私とことえの恋バナをしたり
アドバイスをもらったり変な男に引っかかった時のこととか
思えばたくさん相談させてもらった気がする。
それが今では私もことえも素敵な彼氏がいる。
そんなことを思いながらみんなが揃いいつも通り楽しいディナーでした。
デザートはゆうみのフランス人の旦那、エドが作ってくれたティラミスで締め。
日本から離れた土地で気兼ねなくなんでも話せる日本人の友達の存在は
本当に心強い
そんなことを思った一日だった
12/23
今日はパパの命日。
そんなことを思いながら1日を過ごした。
クリスマス用に家にあるオーブンを大活用して
ローストチキンを作りたくて
朝市場へチキンを買いに行く。
市場には人人人。
こっちのクリスマスは日本のお正月みたいな位置付けで
家族が集まりご馳走を食べる。
2人でちょうど良さそうなチキンを買ってみた。
2kgちょっとだろうか? 21ユーロ。
まあクリスマスだしちょっと奮発。
市場にはプレゼントをカートに乗せたサンタがいた。
小さい子供を見つけると金の硬貨の紙に包まれたチョコレートを配っていた。
夕方彼と一緒に私のクリスマスプレゼントを見に行った。
彼の誕生日にはサプライズで、スケーターに重宝されるであろう衝撃吸収の中敷をあげたので
そのお返しにこれからの旅で使える小さめのバックパックを買ってくれるということになったのだ。
これだ! というのがなかなかなく一旦考えることにした。
街はすっかりクリスマス。
バルセロナの中心街は人人人で溢れていて歩くのもやっと。
街全体が竹下通りみたいな感じだった。
実はバルセロナに引っ越してきてすぐ行きたいパーティーがあって
Afro beatsなどの音楽をかけるパーティーで
私が行こうとしていた2020年3月はコロナで直前にパーティーがキャンセルになったのだけど
今日そのパーティーがあると聞いて行きたいなと思っていたけど
やっぱり夜ご飯を食べたら眠くなってきて21:30にはベットに入りダラダラしていて
2時間後にかけておいた目覚ましで起きて 友達から行こうよとメールが入っていたけど
眠さには勝てず、まあこれからブラジルをはじめとする南米に行ったらこんな
パーティーはいっぱいあるだろうと自分に言い聞かせてまたベッドに戻った。
12/24
クリスマスイブ
彼が唐突にバッファローウィングが食べたいと言い出して
ランチは家の目の前のGRINGAというバーガー屋さんへいった。
辛いものばっか食べたせいか彼のお腹の調子が悪くなったので少し休んでから
また街へ繰り出した。
夜に作るローストチキンの準備をしていざ出発。
夜19時からPlaza Cataluñya で友達のMagalíが歌うらしいので見に行った。
こんな大きなステージでみるのは初めて。
見ているうちに昼のチキンのせいか急に寒気がしてお腹が痛くなってきて近くの店へ駆け込み
2階まで上がってトイレを探すけどない。セキュリティのおじさんに聞くと
どうやら地下にあるらしい。
急いで階段を駆け降り向かうと有料トイレだった。現金がない。
「現金ないけど今緊急なの!!」というと
じゃああとで払ってねと言われ間に合った。
あー冷や汗かいた。
辛いものを1日の初めに食べるとこうなるのか。
気を取り直してまたステージの方に戻り彼女のステージを見届けた。
さて家に帰ってローストチキンをセット。
ローズマリーとニンニクを刻んで溶かしバターとまぜ
チキンの皮とお肉の間に流し込み残りは外側に塗りたくる。
そしてレモン汁を絞って中に絞ったレモンとローズマリーを丸ごと入れて
オーブンへ。
初めて作るけど意外と簡単で2人してオーブンの目の前で様子を眺めていた。
今日のメニューは
ほうれん草とポロネギのポタージュ
マッシュルームとルッコラのサラダ
ローズマリーとレモン、ガーリックの香りたくさんのローストチキン
以前も書いたバルセロナいち美味しいチキン屋さんの
ローストチキンに負けないくらい美味しいチキンができて
大満足
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Miyu Fukada
横浜生まれ、バルセロナ在住。NYへ留学中、ガラクタ市でみつけた10$のフィルムカメラで写真を 撮り始める。写真、雑誌でのコラム執筆、モデル、コーディネーター、通訳/翻訳など多岐に渡って活動中。