the UNKNOWN #20
最終回
Contributed by Miyu Fukada
People / 2024.05.08
#20
5/8
4/9の帰国からあっという間に1ヶ月が経っていた。
10年以上住む逗子で毎年行われている逗子海岸映画祭の設営が帰国1週間後から始まり、月曜日にちょうど夢の11日間の開催期間が終わったばかり。マキタのインパクト片手に今年は去年より多くのビスを打ち込み、サンダーをかけ準備した10日間、そして本番が始まってからもバーの人混みとチョリパンの行列をこなし気づいたらあっという間に1ヶ月。
1ヶ月は経ったけど、私の中ではまだ今回の旅「the UNKNOWN」は完結していない。この旅での経験や撮ってきた写真、毎日書いていたこのコラムを何かの形にするまで私の旅は続く。
旅の間は今は信じられないほど毎日の出来事や感じたことを書き留めていた。帰国後この1ヶ月何も書き留めていない。新幹線の車窓風景みたいに過ぎ去っていった1ヶ月。各駅停車の列車のように4ヶ月間毎日書き留めたことは今では自分の財産だし、この旅の全ての情報が詰まっている大切な記録となった。
さて、そろそろ保留中の旅へ完結すべく話に戻るとしよう。
今回の旅ではフィルムは50本近く、枚数にすると1800枚以上。デジタルの時代なら少ないと感じるのか? は知らないが、この枚数は見て消化するのにも時間が必要だ。一回の旅で撮った本数では今までで1番多いかもしれない。それでも写真を見返せばどこへ行ったとか、記憶よりもはやすでに「思い出」になりかけているあれこれを回想することができる。
タイトルにも書いたように私自身、未開拓「the UNKNOWN」な旅だったわけだが、確かに距離にすれば日本から17000km程離れたブラジルからペルー、メキシコと「異国」なんだけど私の中ではそこまで奇想天外感はないというのが率直な感想。
結局は今まで旅した土地には人間がいて食べて寝て排泄してという基本はどこへ行っても変わらず、その地域を食や建物、言語など人間を彩っているものは変わっても根本は一緒でそこまでUNKNOWNではないなって感じ。
現実からかけ離れた旅から戻ってきたという感覚もなく私が過ごした南米、中南米での日々は確実に私という人間の一部になった。
まだなぜなのか自分でも確信には至っていないけれど、旅から「現実」という日本に戻ってきたっていう今までの感覚はなくなった。どの国に行ってもどの言語を喋って、例え母国から遠く離れた土地へ行っていたとしてもそこにいるのはあくまで私自身であり他の誰でもない。
4ヶ月連載したこのコラムを一つの形にするプロジェクトがはじまります。
それもまだ旅の続き。どうぞお楽しみに!
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Miyu Fukada
横浜生まれ、バルセロナ在住。NYへ留学中、ガラクタ市でみつけた10$のフィルムカメラで写真を 撮り始める。写真、雑誌でのコラム執筆、モデル、コーディネーター、通訳/翻訳など多岐に渡って活動中。