なんか微妙

えもーしょん 小学生篇 #63

なんか微妙

2003〜2010/カイト・小学生

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.11.18

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#63
「なんか微妙」
(2003〜2010/カイト・小学生)

次の日、土曜日なのに学校へ行かなきゃいけないことに

なんだか違和感を感じながらも

15時に学校集合。とこれもまた

いつもとは違う登校時間に不思議な気持ちでいた。

きっと、ボクは無意識にルーティーン的なものが出来ていたのかもしれない。

15時に学校集合だけど、心優しきカビゴンのり君が

11時にボクの家に来て一緒に具なしラーメンを食べることになっている。

せっかくだから、トモ君も誘ったのに

「今日はパパの発明を手伝う」と言って

断られてしまった。

のり君がボクの家に来るまでなにもやることがない…。

「部屋の掃除でもしたら?」とママに言われたけど

掃除するにも、そんなに汚れてないし

物も全然ないからベッドでゴロゴロ。

朝からずっと寝ていると、「波でも見てこいよ」とパパが言った。

最近、全然ないことは知っている。

「でも今日は風が吹いているから少しあるかも?」と思った。

「いや、少しあっては困る」

「少しあったら、海に行きたい」

「でも、海に行くとのり君が来る時間になっちゃう」

あれ、しまった!

波が気になり始めてしまったぞ。

のり君を少し待たせて、ボクはサーフィンに行くのか?

いや、そんなのダメだ

のり君は、ずっと前から具なしラーメンを楽しみにしていたんだ。

それに、のり君が来るからって

今日は具なしラーメンスペシャル。

「具なしつけ麺」らしい。これは、ボクも初めてだ。

きっと、ボクがサーフィンに行ったら

「帰って来るまで待てないから食べちゃおっか?」とママが言うに違いない。

そこで「いえ、かいとくん待ってます」とのり君は絶対に言ってくれると信じている。

信じているからこそ、海に行くのが申し訳ない…。

でも、気になっちゃう!

行ったら最後だ、多分今日波はある。

どうしよう…。

早くのり君が来てしまえば、もう諦めてしまえるのに…。

お家へ電話してみるのもいいか…。

いや、もう家出ているかも…。

うーーーーーん。

「あ、寝ちゃえばいいや」

ボクは、最終手段タイムスリップを選んでしまった。

けど、ボクのタイムスリップはコントロール出来ないのが難点。

「今から準備に入ります」

「どこからどこへ行くかはわかりません」

「おやすみなさい」

続く


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