えもーしょん 大人篇 #19
大人になった。
2016~/カイト・大人
Contributed by Kaito Fukui
People / 2020.03.20
小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!
#19
「大人になった」
(2016~/カイト・大人)
夏が少女を大人にする。ように
ボクにも、大人になった。
と、思える瞬間は訪れるのだろうか。
毎日、毎日、1日1回は恋をする。
朝起きて、一番最初に思うことは
今日こそは!!!
そして
「え、なにが?」
と、目が覚める。
毎日、毎日、今日こそは
スーパーナイスな女の子と運命的な
出会いを果たすのだ!!!
そう、思って
早5年は確実に過ぎた。
何もせず、ただ
出会いを待っているわけではない。
流行りの、アプリだってやってみた。
アプリで、出会い
会ってみた女の子もいた。
メッセージで、盛り上がり
お互い、家も近いことで
近所の公園で会うことになった。
時間ぴったりに、その子は
現れ、下から上まで
洋服を3度ほど見た。
意外とタイプだった。
「好きなお花は何?」
そう聞くと
「ミモザ」
と、即答した。
ボクは、じゃあ帰るね。
そう言って
公園を後にする。
キョトンとしていたが
好きなお花を
「ミモザ」と答える女の子は
ボクの経験上
お洒落だが、そこまでセンスは良くない。
恐らく。
では、何のお花が好きと答える
女の子がセンスいいのか
「ラナンキュラス」
ではないだろうか。
勝手な想像だが。
と、こんなことばかり
自問自答して、毎日生きている。
最近は、大人になった。
と、思う瞬間が幾つもある。
1、学生時代、好きだった選手が
いつの間にか、結婚していて
いつの間にか、パパになっていて
いつの間にか、引退していた。
ボクの中では、当時の輝いている彼で
止まってしまっていた。
けれど、彼はもうすっかりおっさんだ。
いい腹をしている。
ボクも、大人になったかも。
2、好きだった、バンドマンのPVを
久しぶりに見た時
画質が悪く、淡い感じになっていた時。
ブラウン管の存在を近くに感じた。
ブラウン管、叩いては、叩いて
叩いては、叩いて、手が痛かった事を
思い出し、ボクも大人になったかも。
3、新しく、アプリや
サイトに登録する時、名前、性別と進み
生年月日を、項目から選ぶ際
自分の生まれた年代が年々
遠くなり、長くスクロールした時
ボクも大人になったかも。
4、今まで、お母さんからもらっていた
1日¥150で買っていた
チョコチップメロンパン。
今なら、何十個でも食べることが
出来るのに、1つしか買わない時
ボクも大人になったかも。
5、タクシーに乗った際
いつも、外の景色よりも
運転手さんのナビ画面よりも
その下の、料金表を気にしていたのに
いつからか、何も気にせず
眠るようになった時。
ボクも大人になったかも。
そう、思って
今日も、恋をする。
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Kaito Fukui
1997年 東京都出身 幼少期から波と戯れ、サーフィン、スケートボード、恋に青春。 あの時、あの頃の機微を紡ぐように幾層ものレイヤー重ね描き、未来を視る。 美化されたり、湾曲、誇張される記憶を優しく繊細な浮遊感で!