海に向かって

えもーしょん 高校生篇 #38

海に向かって

2013〜2016/カイト・高校生

Contributed by Kaito Fukui

People / jul.01.2020

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#38
「海に向かって」
(2013〜2016/カイト・高校生)

ぶぅぉぉぉぉおおおおん。

パラリラ、パラリラ。

プシュ〜ッ。

聞いたことのない、なんともヤンチャな音で

目が覚める。

窓の外は明るい。

空は高く、入道雲が泳いでいる。

夏の日差しが、部屋を照らし

ボクのTシャツは、絞れそうだ。

ぶぉぉぉぉおおおぉおぉ。

「誰だよ、こんな朝早く」

寝起きの機嫌のまま

階段を降りて、リビングへ向かう。

テーブルには、大好きな

オレンジとキウイ。

ヨーグルトと、ピザトーストが並んでいる。

「お、今日パパお給料日か」

今日は25日、パパのお給料日。

朝から、いつもより豪華だ。

気分がいいまま、キウイを一口。

オレンジも。

その時、ピーンポーン。

「だよなぁ」

そんな気がしていた。

「はーい」

オレンジを食べながら、少し大きな声。

「おはよ〜」

親友のこうやだ。

自分の家のように、入って来ては

ママに挨拶をし、気がつけば

ボクのピザトーストを食べている。

なんてやつだ。

「あのさ〜、今日さ〜、海連れて行ってよ」

ピザトーストを食べながら、こうやが言った。

「はぁ、なんだよ、嫌だよ。今日はプールがいい」

朝のテレビ、天気予報の後ろにプールが映っている。

「いや、頼む」

ピザトーストを置いて、真剣な眼差しでこうやが言った。

「いや、こちらこそ頼む」

ボクも譲れない。

なぜって、毎日毎日海ばかり。

女の子を見るよりも

「あ、あそこのピーク出来そう」

と、ビキニ、お尻、おっぱい。

そんなことよりも、波が気になって仕方がない。

どんなにフラットだろうと

結局、気にしてしまうのだ。

出来そう。

そんなことなら、まだいい。

「お、めっちゃいいじゃん」

こうなってしまったら

もう、地獄でしかない。

サーフィンしない、こうや。

海の家で、ラーメン、冷やし中華。

あの、安価な雑な味が

夏の海の心も日焼けしたボクらには

ちょうどいいのだ。

しかし、やっぱりサーフィンがしたくなってしまう。

「頼む、プールへ」

行きたくない、理由を伝えると

「わかった、じゃあ間を取ろう」

彼がそう言った。

「どんな?」

「素潜りに行きたいんだ」

「素潜り? 魚? 貝? エビ?」

「エビ!!! サザエ!!!」

「それなら…行こうか…」

「海の方へ」

続く。

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