初めての失恋

えもーしょん 高校生篇 #57

初めての失恋

2013〜2016/カイト・高校生

Contributed by Kaito Fukui

People / nov.03.2020

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#57
「初めての失恋」
(2013〜2016/カイト・高校生)

サーファーはモテるとかスケーターはモテるとか

一体、いつの時代で誰が言ったのでしょうか。

そもそも、そう言っている本人はモテていたかも疑問だ。

よく商店街で会うおじさんが、「おれも昔サーフィンやってて~」

最後に必ず「モテてた」と言うけど

どれくらいかは言わない。

海の中で会う、先輩たちも「いやぁーかいとくらいの頃はモテモテだったよー」

とか言うけどさぁ、ほんとかよ。

いいの? 信じちゃっていいの?

サーファーはモテるんだよね!?

だんだんと、みんなに洗脳され始めいつしかボクは

「サーファーはモテる」から「おれモテる」に変わっていた。

そして遂に、おれはモテるから!とありもしない自信を胸に

好きな女の子に告白することにした。

なぜだろうか、自分はモテるとか信じ込んでいるからだろうか。

全然ドキドキしない。振られる心配もない。

サーフィンの試合もこうだったらいいのに。と後から思うが

当然、付き合えると思っているボクは

「今日一緒に帰ろう?」と一言。

夕暮れ、部活を終えた同級生の姿も見えなくなり

「早く帰りましょう」と学校の校内放送が流れた。

たった50Mしかない通学路での告白は容易ではない。

電信柱3本の間で決めなければ。

1本目を過ぎ、2本目を過ぎよし! やるぞ!

と、決意した瞬間。

「かいとくん家こっち?」

彼女は言った。

いま!?

「うん、こっちだけど」

だから?

「どうしたの?」

「私こっち」

「ボクはこっち」

「じゃ、またね!」

彼女は手を振り去ってゆく。

「告白も出来ずに振られた」と友人が落ち込んでいた。

なにを言っているのかわからなかったが

おそらく、このことだろう。

土俵にも立てずに立ち竦む。

彼女の小さな背中を見送り、心の中で手を振る。

振り返ってくれないか、と期待するも

心の中は振り返る事はないと知っている。

けれど、もしも振り返ったのならば

その時はどうしたらいいのか。と少しドキドキする自分がいて

もどかしい。

これが、恋ってやつか…。

それとも、青春か。

どちらにせよ

嫌いではないと思った。

でも

明日、彼女と会うのは恥ずかしいので

しばらく学校には行かないことにする。

忘れた頃にもう一度チャレンジしたいと思う。


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