THE AMERICAN VINTAGE FURNITURE / UNKNOWN STORY-#5

壁を彩るエレメンツ

Contributed by ACME Furniture

People / feb.22.2019

35年にわたりアメリカを中心としたヴィンテージ家具を取り扱い続けているファニチャーブランド、ACME Furniture。
2017年に出版された『THE AMERICAN VINTAGE FURNITURE』は、そんなACME Furnitureがこれまでに買い付けてきたアイテムがずらりと並んだブランドの歴史を感じることができる一冊だ。
この連載では本誌では語られなかった、アイテムのバックストーリーを紹介していく。
第五回目は、ACME Furnitureが出合った壁を彩るオブジェをご紹介。

アーカイブはこちら↓
ACME Furniture #1 サイズのおかしな道具たち
ACME Furniture #2 戦闘機が家具に?!
ACME Furniture #3 幻の家具メーカー BROWN SALTMAN
ACME Furniture #4 マーケットで出合った印象深きものたち
ACME Furniture #6 ACME Furnitureが厳選する<br>名作チェア4選</br>

#1. Curtis Jere
アメリカのヴィンテージ市場ではアートギャラリーに展示されていたかのような立体形成のオブジェを良く見かける。ミッドセンチュリー期には多くのメーカーやアーティストがインテリアの装飾物としてのオブジェを製作してきたが、その代表格として知られているクリエイターが「Curtis Jere」だ。プロダクトの生産を担当していた Curtis(カーティス)と、デザインを担当していた Jere(ジェレー)の二人によって 1964年に設立された同社は「一般家庭向けにギャラリー品質のアートを」というコンセプトを元に、現代に至るまで数多くの立体オブジェを作り続けた。デザインのモチーフは様々で、自然の風景、動物、植物、人、乗物や道具などのシルエットを、真鍮や鉄などの素材を用いて接合箇所を溶接して造形することにより立体感のあるアート作品へと変える。同社のオブジェはどれもクオリティが高く、細部の溶接技術や素材の切り出し方など全ての箇所に手仕事のこだわりが感じられる。そうして作られた作品は、過去にどこかで見た情景を思い出させるような情緒的なデザイン性があり、インテリアの一部に取り入れることにより空間にアート性が備わるような不思議な存在感を持つプロダクトだ。









#2. William Bowie
ウィリアム・ボウイは 1954年から1994年までニューヨークを拠点に活躍した造形作家。Curtis Jereと並びミッドセンチュリー期を代表する立体オブジェのクリエイターである。彼の作品の中で代表的なものは、いくつもの古い「鉄クギ」を溶接加工により繋ぎ合わせ、立体的に成型したオブジェ。デザインの特徴は 1950年代頃から建築や家具に取り入れられたスタイルである「ブルータリズム」を彷彿させるモチーフで、硬質的で荒々しく、生物のような躍動感を持った作品が多い。1960年代以降、彼は功労賞やグッドデザイン賞など数々のタイトルを手にするなど、多方面から多大なる評価を得た。現在はコレクターの間で高額で取引されながら、ヴィンテージ市場では年々希少性が高まっている。







#3. Amish Star
星の形に成形された鉄素材の壁面オブジェ。アメリカではインテリアやエクステリアの壁に飾られているのをたまに見かける。これは「アーミッシュ・スター」と呼ばれているプロダクトで、建造物が解体された際に屋根の素材として使われていたトタン板を再利用して職人が手作業で星の形に作り上げたプロダクトである。これらは「アーミッシュ」と呼ばれる民族が主に製作していることがプロダクト名の由来である。アーミッシュとは別名「ペンシルベニア・ダッチ」とも呼ばれ、多くのオランダ系移民がアメリカのペンシルベニア州地方に居住した時代以降、現代に到るまで当時の生活様式を保持し、電気や近代文明に頼らず農作や牧畜によって自給自足生活をしていることで知られている。何年か前に買い付けでペンシルベニア州を訪れたことがある。その際にアーミッシュ・スターを生産している工房を案内してもらうことができた。個人的にもアーミッシュが実際に現地でどのような生活を送っているのかとても興味があった。この現代社会の中でクラシカルな衣服を身に纏い、自動車にも乗らず移動手段は馬車を使っているのだという。実際に道路には馬が馬車を引いている道路標識が立てられている場所もある。古い映画のワンシーンを思い浮かべながら彼らの工房を訪れた。が、しかしなんと、電気を使わないどころか、多くの充実した工作機械に囲まれ、光々としたライトに照らされながら効率的に作業を行っているではないか。しかも工房の脇に停まっている車はトヨタのプリウス。彼らに色々とお話しを伺ったところ、親の世代までは従来のアーミッシュが保持してきた生活様式で生活してきたが、彼らの世代になってからは一部の民族は近代的な生活に変わってきているのだとのこと。プリウスは環境にも配慮した最高の日本車だ、と話している姿がとても印象的であった。







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ACME Furniture #6 ACME Furnitureが厳選する<br>名作チェア4選</br>

『THE AMERICAN VINTAGE FURNITURE』の制作秘話はこちらから
ACME Furnitureのオリジンに迫る!(前編)
ACME Furnitureのオリジンに迫る!(後編)
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