コンビニ完全制覇 上

えもーしょん 大人篇 #16

コンビニ完全制覇 上

2016~/カイト・大人

Contributed by Kaito Fukui

People / mar.17.2020

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#16
「コンビニ完全制覇 上」
(2016~/カイト・大人)

中学校を卒業したボクは

少し長い、春休みを

ほぼ、1日中ソファの上で

過ごしていた。

あー、長かった。

そして

「高校なんて」

と、ふと口に出した。

高校なんて。

そもそも、高校へ進学する気が

一切なかったボク

「かいと、高校どこ行くの?」

と、友達に聞かれても

「んー、行かないかなぁ。行くとしても通信制がいいなぁ。サーフィンしたいから」

と、サーフィンだけをして

暮らしていけると、思っていた

かいと少年。

しかし、ある日

中学校内で、1番の理解者である

学年主年の、先生に放送で

呼び出された。

「ピンポンパンポーン、〜組のかいとくん職員室の前に来てください」

と、ボクが職員室嫌いな事を

知っていてか、いつも

呼び出される時は、職員室の

ドアの前で待っていてくれた。

その日も、そこへ向かうと

いつもよりも、顔が硬まっている

先生が、立っていた

「お〜!、珍しく学校にいるから呼んじゃったよ」

と、先生

「昼飯、食ったか? ラーメン行くか?」

と、授業中にもかかわらず

学校から歩いて5分ほどの

床が油でベトベトのラーメン屋に行くことに。

下駄箱へ靴を取りに行き

美術室の裏口から

外へ出て、校庭の周りの木々の中を

2人で歩き

体育館裏の、裏口から外へ出て

ラーメン屋へ向かう。

「あそこさ、なんであんなにいつも床がベトベトするんだろうね」

と、先生

「ね、でもさベトベトしてるんだけど、綺麗なんだよね」

と、ボク

「ねぇ〜」

と、2人。

「今日は、何食べるかぁ〜」

と、先生が言った

これは、本当に悩ましい。

なぜなら、その店は

当たりもハズレもないからだ。

頬が落ちるほど、うまくはないが

不味いと思うほど、不味くもない。

強いて言えば、疲れている時や

今日のご飯、なんでもいいや。

別に、食べなくてもいいや。

そんな時に、最高の店。

中学校2年生から、約2年

ほぼ、このジャムおじさんみたいな

先生と一緒だが

数回は、友達と行ったこともある。

合計で20回以上は行った。

だから、そろそろ

食べたことのないメニューがないのだ。

店に着くと、いつもと変わらない

ボロボロの暖簾が掛かっている。

ガラガラガラ〜。と扉を開けて

中へ入る。

やはり、床がベトベトしている。

「うーん」

張り付く、靴を見て不思議そうに

先生が言った。

ボクは、気にせず

奥の席へ向かう。

すると、先生も席に座り

メニューをしっぽりと見つめる。

「かいと、ご飯系? 麺系?」

と、先生

「レバニラ定食いいね。」

「ご飯系かぁ、レバニラねぇ」

「半分しないか?」

「何と?」

「うーん、かいとがレバニラだろ?」

「ミソか、醤油か、豚骨なんだが…」

「す、凄いね。オールマイティだね」

「あ、塩にする」

「塩かぁ、塩じゃトレードできないなぁ」

「こっちは、レバニラ。だからね」

「なんと。じゃあ、唐揚げ定食はどうだ?」

「ん、流石センスいいね」

「すみませーん」

と、他にお客さんもいないので

少し控えめに、先生がお店のおばちゃんを呼んだ。

「はーい」

と、おばちゃんが

ベトベトの床を小走りでやってくる。

「はい、はい」

「えーと、レバニラ定食の大盛りを1つと。唐揚げ定食の大盛り1つ。ください」

「はーい」

と、おばちゃんが

ベトベトの床を歩いて

厨房へ向かった。

「それでな」

と、先生

「うん」

と、水を飲むボク

「かいと、高校はどうするんだ?」

「うーん、行かなくてもいいかなぁ」

「うん、それもいいんだが。先生的には行って欲しいんだ」

「今みたいに、たまーに行くでもいいからさ」

「そんなこと、出来るの?」

「まぁ、なんとかなるよ。かいとなら」

「うーん、でも今から受験勉強って…」

「それは、大丈夫。面接だけでいいってさ」

「だから、どうだ?行かないか?」

と、ずいぶんボクの将来を

心配した、先生がどうやら

色々と、根回しをしてくれていたようだ。

田舎あるあるなのだろうか。

ペト、ペト、とおばちゃんが

唐揚げ定食を持ってやってくる。

「はい、唐揚げ定食です。」

と、唐揚げの乗ったお皿

ご飯、お味噌汁

を1つずつ置いていく

「あ」

と、ものすごく小さな声が

聞こえた。

ボクは、必死に笑いを堪えるので

精一杯だった。

そう、おばちゃんの指が

お味噌汁をテーブルに置く際に

入ってしまっていたのだ。

当たりだね。

続く


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