すとれす

えもーしょん 大人篇 #62

すとれす

2016~/カイト・大人

Contributed by Kaito Fukui

People / oct.13.2020

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#62
「すとれす」
(2016~/カイト・大人)

現代人は、見えないストレスと日々闘っている。

と、つけっぱなしのテレビから聞こえてきたことがある。

まぁ、そうかもしれない。

現に、ボクにも見えないストレスが沢山ある。

例えば、一階に引っ越してきた大家さんが

いちいち、ボクのゴミ袋を開け分別出来ていない! と朝から文句を言ってくるとか

最近、全然女の子から連絡が来ないとか

口内炎が治らないとか

挙げればキリがないほどストレスはすぐそばにいる。

ただ、最近ようやく

気にしないことが1番の逃げ道だと思うようになった。

今日も、大家さんに文句を言われたが

「ごめんなさい」と素直に言った上で、心の中では

「殺すよ?」と優しく伝えてみるとか

女の子から連絡が来ないのは、来たって返すのがめんどくさいと

心底悲しい、言い訳をしてみる。

口内炎が治らないことに関しては、これはもう

カルビーさんに文句を言うしかない。が言ったところで

治るわけでもないので、今日も薬を飲むしかない。と諦める。

ストレス。が楽しくなればそれが一番いい。

まずは、カタカナを止めるところから始めたい。

そもそも、カタカナで“ストレス”と決めたのは誰だろうか

カタカナで表すから、とがって見えてしまうんだ

いっそ、“すとれす”とひらがなで表してみてはどうだろうか

「部長からの、夜の誘いがしつこくてすとれす」

「アイツの一言一句がすとれす」

うーんーーーーーーーー。

なんとなくいい感じではないだろうか?

けど、本当のすとれすは大体笑えないことが多い。

「深夜まで、残業をしていると何のために働いているのかわからなくなる」

と、ある日友人が愚痴をこぼした。

新卒で、内定をもらった時はあんなにも喜んでいた彼が

今は、どうだい。

目元には大きなクマ、覇気のない顔、暗い声。

もう、こうなってしまっては彼には負の連鎖しか待っていない。

そんなに、すとれすなの? と軽い返事をしてみれば

泣き出す始末。

いくら、彼の愚痴を聞いたって彼がスッキリする気配がない。

なにか、アドバイスをしたって

きっと、彼には届かないだろう。

ストレスは、本当に厄介なものだ。

誰かに何かを言われて、晴れるなんてそんなことほとんど無い。

だから自分でどうにかするしかない。

ほとんどの事はぐっすり眠ってしまえばいいのに。

すぐに朝が来てしまうから、休む暇もない。

そんな、時はもうアレしかない。

ピンクのネオンに光るホテルの回るベッドで

全裸で横たわり、名一杯叫ぼう。

多分これが1番いい方法だと思う。

ボクは、彼にそう伝えると

2度と彼から連絡が来なくなった。

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