大阪からフェリー

えもーしょん 小学生篇 #53

大阪からフェリー

2003〜2010/カイト・小学生

Contributed by Kaito Fukui

People / sep.23.2020

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#53
「大阪からフェリー」
(2003〜2010/カイト・小学生)

眠い。

家を出て、ガソリンスタンドを出て

どこかのスーパーでジュースやお菓子やおにぎりを買ってから

何時間経っただろうか。

あんなに、いっぱいあったお菓子は

もう、このポテトチップスで最後。

だけど、お腹がいっぱいで

全然食べられない

それに、眠い。

外が、明るかったら

もう少し違っていたかもしれない。

窓を開けて、外の景色を眺めることも出来たはずだし。

んもー、眠い。

だけど、次

「まだー?」と言ったらパパはボクと口を聞かなくなるだろう。

「かい、おにぎり食べなよ」

運転に疲れ気味のパパが言った。

「いや、もう少ししたら食べるよ」

「ちょっとパパのとって」

パパのおにぎりはいつも

シーチキンか、明太子。

たまーに、昆布なんかもあるけど

基本は、この2つ。

そして、遠征へ向かう途中

パパのおにぎりのフィルムを剥がして渡し

ペットボトルの蓋を食べ終わるまで開けておくのがボクの仕事。

だから、どんな時でも寝てはいけないのだ。

もし仮に、眠ってしまったら

車内は大変。

この大きなバンの中に2人っきりで

しかも、運転に疲れて機嫌の悪いパパが隣にいるのだから…。

絶対に、眠れないのはこれが原因。

ストレスかどうかはわからないけど

気がつくと、ボクも無意識にポテチを摘んでいる。

そんな時、一番嬉しいことは

「あと〜くらいで着きそうだね」

と、パパの言葉。

先の見えない暗闇がパーッと晴れるとはこのことだ。

高速道路を長いこと走っていて

初めて、標識に「大阪方面」の文字が見えた。

大阪の漢字は書けないけど

下に書いてあった、OSAKAがハッキリと見えた。

きっと、パパも先の見えない暗闇だったのだろう。

大阪の文字を見ると、「パーキングへ寄ろう」と言った。

「もう、たこ焼きあるかな?」

とボク。

「どうなんだろうなあ、ここどこか後で見ようね」

と、パパ。

「そろそろ、カーナビ買ったら?」

「買いたいんだけど、ここに付かないんだって」

「そうなの? どこにつけるの?」

「ここ」

と、パパが指差した場所は

運転席と助手席の間の、ラジオの上のエアコンの上

「あぁ」

それは無理だね。

と、2人で話をしているとパーキングに到着。

ながーーーーーーーーーーーい、トイレを済ませ

2人で売店より先に、地図を見に行くと

どうやら、ほぼ大阪らしい。

ここから、フェリー乗り場まであと2時間くらい

朝一のフェリーに乗るため

今日はここで少し休むことに。

続く

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