好きな女優さん。

えもーしょん 高校生篇 #19

好きな女優さん。

2013〜2016/カイト・高校生

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.03.12

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#19
「好きな女優さん」
(2013〜2016/カイト・高校生)

「うんうんうんうんうんうん」

「え、ちょ。ちょ」

ボクの好きな女優さんが

今日もテレビの中で

輝いている。

かわいい。

映画やドラマを見て

彼女の

本当の素の部分が出る瞬間や

普段の癖や、言葉のニュアンスを

見つけるのが

最近のマイブーム。

時には

「かわいい」瞬間ランキング!

と、勝手にかわいいと思う

瞬間を見つけては

スロー再生したり

逆再生したりして

日々を過ごしている。

しかし、ある日

ボクは気付いてしまったのだ。

それは

ボクが、好きな女優さんの

好きな部分を勝手に探して

勝手にその人をボク好みに

カスタマイズしていただけだった。

と、いうことに。

笑うとき、手を鼻につける仕草や

ご飯を口に入れる瞬間

なぜか、右上を見るところ。

そんな、ボク好みの瞬間を

勝手に切り取って

好きな女優さんを

「ボクの女優さん」に

勝手にカスタマイズしていたのだ。

笑う時に、手を鼻につける仕草なんて

役柄かもしれない。

しまいには、性格までも

カスタマイズして

会ったこともないのに

優しい人。

なんて決めつけていた。

酷い。

重症だ。

だから、モテないんだ。

ボクは。


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