えもーしょん 中学生篇 #27
夏の日のフラれた日
2010〜2013/カイト・中学生
Contributed by Kaito Fukui
People / 2020.04.28
小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!
#27 「夏の日のフラれた日」
(2010〜2013/カイト・中学生)
桜が散ったのは、もうとっくに前で
今となれば、むしろ去年?
なんて、くらいに遠く感じるけど
今日までは、早かった。
梅雨なんて、家の中でゲームして
ラーメン食べて
お風呂入って
寝て、起きたら終わっていた。
そんなくらいに、今日までは早かった。
「エアコンがないと、死んじゃう!」
なんて、友達が言った。
そうだ、夏だ。
ヤシの木が、やっと来たか!
と、揺れている。
カモメは
あちーけど、おれらが飛ばなきゃ記念写真すら撮れねーだろ!
と、自らの役割を理解しているかのように
灼熱の空の中を飛んでいる。
家の、玄関を開けると
夏の眩しさに倒れそうになるが
これが、またなんとも言えない。
一瞬、くらっとなるのに
やばいとも思わないのは
きっと、夏のせいだ。
アスファルトには、陽炎が。
ビーサンを履いて、海へ向かう。
揺れる砂浜、キャンプをする人や
泳ぐ人、はしゃぐ人
夏の音が聞こえる。
こちらも、しっかり夏だ。
ジリジリと、悶絶するような
砂浜に、何故か座ってしまう。
幸せそうな、夏の人々を見て
なぜか、ボクも幸せな気分になる。
こんな時は、本気で
「一年中夏だったら。」
と、思ってしまう。
今、そう思ったのに
「桜が咲く前に、新しいTシャツ買わなくちゃ」
「梅雨が始まる前に、新しいビーサン買わなくちゃ」
と、昨日フラれた
カナちゃんの言葉が頭に響くから
やっぱり、そんなことないな。
でも、君がいないと
桜なんて、どうでもいいし。
梅雨はきっと、憂鬱なんだろうな。
実際に、そうだ。
空とか、海とか、季節とか、に影響を受けているけど
なんだ、かんだ言って
君がいれば、なんだっていいんだ。
悔しいが。
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Kaito Fukui
1997年 東京都出身 幼少期から波と戯れ、サーフィン、スケートボード、恋に青春。 あの時、あの頃の機微を紡ぐように幾層ものレイヤー重ね描き、未来を視る。 美化されたり、湾曲、誇張される記憶を優しく繊細な浮遊感で!