初デートファッション。

えもーしょん 中学生篇 #23

初デートファッション。

2010〜2013/カイト・中学生

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.04.01

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#23 「初デートファッション」
(2010〜2013/カイト・中学生)

キスする、イメトレはバッチリ。

いつでも、オーケー。

彼女が迎えに来る。

10:00までは、まだまだ時間はある。

時刻は、am8:45。

最高にじゅんびをしよう。

まずは、お風呂にお湯を溜めて

しっかり、汗を流すことから。

体は3回洗って、髪の毛も2回洗う。

お風呂に30分入ったら

冷たいシャワーを浴びて

目を覚ます。

髪の毛は、いつものように適当で

歯磨きは、3回。

肝心な、お洋服。

ネットには

「彼女の服装に合わせるのが、ベスト!」

と、書いてあった。

クローゼットを開けて

しばらく、悩む。

ズボンは、デニムが黒のチノパン

Tシャツはお気に入りの

「クイックシルバーのグラフィックT」

少し、肌寒いから

上には、VANS のフーディー。

「えー、ズボンどうしよう」

「デニムも、チノパンも穴空いてるんだよなぁ」

いやぁ、でも

デニムかなぁ…。

と、結局デニムをチョイス。

あ! 靴! 忘れてた!

と、玄関に向かい

靴を選ぶ。

毎日、スケボーして

とてつもなく臭いボクのスニーカーに

ママが、コストコで買ってきた。

サッカーボールやバスケットボールの形の

消臭剤が入ったスニーカーを積極的に選ぶ。

最終候補は

VANSのスリッポン

SK8-HI

ERA

の3つだ。

「スリッポンはなんか子供っぽいよなぁ」

と、スリッポンを除外。

残るは、SK8-HIとERAだが

「今日、ちょっと寒いからスケハイにしよ」

と、SK8-HIをチョイス。

これで

初デートのコーディネートは

Tops : vansのフーディー

T-shirt : クイックシルバーのグラフィックT

pants : volcom のデニム

shoes : SK8-HI

と、なった。

気がつけば、もう10時だ

と、そんなことを思っていると

ピーンポーン♪と

家のインターホンが鳴った。

なんだか、嬉しそうに

ママが

「もう来たよ」と言ってきた。

「あ、うん」

「じぁあ、行ってくるね」

と、ボクは

初デートでキスする! という

大きなミッションへ出るのだ。

玄関のドアを開けると

「おはよう〜!」

と、いつにも増して元気な彼女。

「おはよう〜」

と、少し緊張するボク。

「よし、行こう!」

と、彼女は言って

ボクの手を引っ張った。

彼女は、そのまま恋人繋ぎをしてくれて

自然な流れで

初めて、手を繋いだ。

ボクらは、134のバス停に向かって歩くが

バス停は、海の目の前。

彼女がバスの時刻表を見て

なにか言っているが

ボクは、海が気になってしょうがない。

「ちょ、聞いてる!?」

と、彼女が言った。

「う、うん!!!」

と、大袈裟なボク。

「あと、5分だけどあそこまで歩く?」

と、すぐ先に見える。

「次のバス停まで歩こう」と言うのだ。

いや、待てばいいじゃん。

そんな、ことは言えない。

「そうだね、歩こう」

と、結局歩く事に

「今日、朝ごはんなに食べた?」

と、彼女。

「いや、なにも食べてないよ」

「じゃぁこれ」

と、おにぎりを持ってきてくれていた。

好き。

「ありがとう〜」と

歩きながら、おにぎりを食べる。

次のバス停に着くと

本当にちょうど

バスが来た。

ボクらは、バスに乗って

駅まで向かう。

この時は、まだ

駅の次で降りれば映画館の前で止まるとは

知らなかった。

あそこのお店潰れちゃったね。

とか

あそこのラーメン屋さんおいしいよね。

と、バスから見える。

景色を見ては

たわいもない会話をしていた。

駅につき、ボクが

次、止まります。

の、ボタンを押した。

彼女は

「よかったね」

と、笑った。

駅の前で、バスから降りて

映画館までは

歩いて、10分程度。

道に植えてある桜は

ちょうど、葉桜に。

「葉桜と、普通のどっちが好き?」

と、ボクは尋ねた。

「気温は、葉桜、好きなのはつぼみ」

と、彼女は言った。

「ほ、ほぉぉぉ〜」

なかなか、大人だな。

映画館の “WB”の看板が見えた。

「もうすぐね〜!」

そう言って、ボクらはテクテク歩く。

続く


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