ボクの甲子園

えもーしょん 中学生篇 #44

ボクの甲子園

2010〜2013/カイト・中学生

Contributed by Kaito Fukui

People / aug.06.2020

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#44
「ボクの甲子園」
(2010〜2013/カイト・中学生)

1番辛かった、夏といえば

もう、あの夏しかない…。

「明日から、夏休み!」

終業式に間に合わず

もう、こんな時間だから行かなくていいかぁ。

と、ソファに沈み込んでいると

「成績表だけでも、取りに行きなさい」

と、ママ。

「えー、9月にもらってくるよ〜」

「宿題はどうするの?」

「もらっても、やらないからいらなーい」

「もう、いいから成績表だけ取りに行きなさい」

「嫌だよ、暑いもん」

ピッ

「ちょっと…!」

「ちょっとじゃないの! 行きなさい」

「はぁ、」

しぶしぶ、起き上がり

みんなが、溜めていた荷物を引きずり

家に帰る姿とは逆に

ボクは、学校へ向かっている。

「あっちー」

「暑」

「暑いな」

家を出てから、たった50Mの通学路

暑いしか、出てこない

学校に着くと、教室は空っぽ。

そうだよなぁ…。

長い廊下を歩き

職員室へ向かうと

ちょうど、担任の先生が立っていた。

「あ、かいと!」

「暑いよ〜」

「もう、みんな帰っちゃったよ?」

「成績表だけでも取って来いって言われて」

「ふふふ」

「はい、どうぞ」

「ありがとう〜」

「見ないの?」

「うん、見ても変わらないでしょう?」

「そうね」

「夏休み〜!」

「はーい、またね〜」

と、たった5分ほどで

ボクの終業式は終わった

そして、家に帰り

「はい、成績表です」

と、ママに渡す。

「はーい」

「あっちー」

「………」

「?」

「………………」

「??」

「…………………………。?」

「???」

「〜…」

「どうしたの?」

成績表を開けたママの表情が

明らかに、おかしい。

これは、嫌な気がする

物凄く嫌な気がする…。

すると、誰かに電話をかけるママ。

長いこと、誰かと話をしている

30分後

「かい、ちょっと」

「え、いやだ」

「いいから、ちょっと」

「いや、ここで言えばいいじゃん」

「いいから、来なさい」

「いやだよ、行かないよ?」

「来なさい」

「嫌だ」

「来なさい」

「行きません」

「来い」

「はい」

椅子に座り、成績表を広げるママ

「ちょっと、去年よりおばかさんになっています」

「はぁ、」

「これは、ダメ」

「どれ?」

「これ、数学が2」

「2」

「国語が1」

「1」

「1、じゃないのよ!」

「日本人なのに国語が1ってどうゆうことよ!」

「しょうがないじゃん! わかんないんだもん!」

「どうして? どうして1なの?」

「そんなの、テストに行かないからでしょう!」

「提出物は? 出してるの?」

「やったことないよ!」

「やったことない?」

「どうゆうことよ!」

「やったことないよ! パパがそんなの大人になったら使わないって言うから!」

「だから、パパはいつまで経っても漢字が書けないのよ!」

「サッカーばっかりやってたから!」

「知らないよ!」

「知らないじゃないの!」

「…」

「それよりも」

「体育が1ってなに!!!???」

「いやー、それは…」

「それは、なに?」

「学校の体育の授業つまんないから…」

「つまんないから…なによ!」

「行かなかった!」

「行かなかった! じゃないのよ!」

「そういえば、体操服洗濯したことないけどどうしたの?」

「たぶん、ずっと学校」

「持って来なさい」

「もう行かないよ」

「持って来なさい」

「もう、誰もいないもん!」

「もう、決めました」

「なにが」

「明日から、おじいちゃんの家に行きなさい」

「へ?」

「今から、新幹線のチケット買ってくるから」

「明日から、おじいちゃんの家で勉強しなさい」

「あ、そっちの!?」

「そっちのってなによ!」

「え、仙台!!!??」

「そうよ! 仙台よ!」

「嘘だろ…」

「いいよ〜涼しくて」

「涼しくて…じゃないよ!」

「サーフィン出来ないじゃん!」

「サーフィンどころじゃないでしょう!」

「国語が1なんだから!」

「…。いや〜キツイな」

「もう、電話したから」

「いや〜行かないよ?」

「パパにも言ったから」

「なんだって?」

「行って来いだって」

「最悪」

「最悪ってなによ! 失礼な!」

「最悪だ…ボクの夏休みが…」

「ずっと行く訳じゃないんだから」

「いつまで?」

「7月中だけよ」

「え、1週間も!?」

「1週間も勉強するの!!!?」

「たったの、1週間よ!」

「終わったら沢山遊べばいいでしょう」

「最悪だ…」

夜まで、講義を続けたものの

新幹線のチケットを買い物帰りに買ったママを見て

覚悟を決めた…。

1週間の勉強漬けの毎日を想像するだけで

お腹が痛い…。

続く。

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