99話目です

えもーしょん 大人篇 #24

99話目です

2016~/カイト・大人

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.04.16

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#24
「99話目です」
(2016~/カイト・大人)

えもーしょんが99話目です。

99です。

4コマは396コマです。

凄い数字ですね。

今まで、キスした数よりも多いいです。

さて、100話を目前に

書くことが、思いつきません。

100話まで行けるのでしょうか?

後、何十行も残っています。

じゃがりこを開けてしまいました。

午後2時です。

暖かい、日差しがバルコニーの中に

差してきます。

大きな、オーガスタが

風に揺れ

ウンベラータがみるみる葉を咲かせ

春が訪れています。

妄想の彼女が

「原稿、終わったの?」

と、キッチンから話しかけてきます。

「まだー」

と、心の中でボクは言います。

「ダメだよ、また鈴木さんに怒られるよ?」

と、彼女が言います

「それは嫌だなぁ」

と、ボクが言いました。

お昼ご飯の、卵とじうどんを作る彼女の後ろ姿が

妙に、大人に見える。

「ネギ、入れていい? 後する?」

と、君が振り返る

可愛い。

「どっちでもいいよ」

ボクはそう言って

原稿を書く。

「七味と生姜と、柚子胡椒? でいいの?」

「うん、ありがとう」

「本日は卵、ちょいかためです」

「ありがとうございます」

「麺も、ちょい硬めです」

「ありがとうございます」

「七味は程々にしてください。口内炎が出来ます」

「はい、」

髪を縛り、麺をすする君

「どう? 美味しい?」

「うん、世界一美味しいよ」

「丸亀製麺とどっちが美味しい?」

「丸亀かな」

と、笑う君…。

あぁ、この後が浮かばない。

「ちょ、ちょっと待って!」

妄想の、彼女も消えてしまった…。

こうなると、ますますまずい。

彼女が言っていた

「鈴木さんに怒られる」

が、現実味を帯びてきた。

もう一度、呼び起こせるか

頭を振り絞り

目を瞑る。

あぁ、なんだか心地がいい。

このまま、寝ちゃ…。

おっと、本当にまずいぞ

なんてね。

そうこうしていると、ほら

許容範囲くらいかなぁ。

大人編も、明日でおしまい。

なんだか、寂しいなぁ。

卒業ってこんな感じなの?

また、いつか

今日がエモい日になるのかな。

「そうかもね」


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