じごく

えもーしょん 中学生篇 #66

じごく

2010〜2013/カイト・中学生

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.12.14

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#66
「じごく」
(2010〜2013/カイト・中学生)

中2の短い冬休み。

友人のジュンと一緒にサバイバルキャンプへ出かけることになった。

ある日、テレビで話題のサバイバル番組を見たジュンが

「おれもやりたい! やろう!」とクラスの男に片っ端から誘っては

断られ、きっとボクのところにも来るだろう…と思いつつも

来なかったら悲しいけど…なんて少し期待しながら

彼を見ていた。

しかし、いつまで経ってもボクのところに来ないので

なんだか悲しくなって、彼の元へ行き

全然行きたくないのに「ボク行く」と言ってしまった。

「え、まじ!?」と片っ端から断られていた彼は

ボクという志願者が現れたことによって一気にサバイバルキャンプが

現実的になり、内心「本当にできるのかな…」と思っているのだろう。

彼の顔には、嬉しさと不安が現れ、変な表情をしている。

それか、単にボクが彼に嫌われていたかもしれないけど…。

とにかくそんなことがあって、サバイバルキャンプは2泊3日行われることになった。

決行は冬休みの初日。

それは、もしサバイバルキャンプで風邪を引いてしまっても

冬休みの初日なので休み中に治せば部活を休まなくていい。と

ワイルドなのか、真面目なのかよくわからない彼の提案だった。

ボクは特に風邪を引いて支障が出ることはないので

「いつでもいいよ」と彼に伝え、冬休み当日を迎える。

キャンプ当日、ボクらは運がいいのか

その日は朝から雪が降り、テレビでは数年に一度の大雪と伝えている。

「これは、今日は無しだなー」と余裕でソファに座りインスタントの

マシュマロ入りココアを飲んでテレビを見ていた。

8時になっても、電話が来ないのでやっぱり今日はなくなったと思った。

しかし、そのあとすぐに家のインターホンがなり

モニターを見るとフル装備で笑顔の彼が立っていた。

鼻は赤く、白息は白くモニター越しでも寒さが伝わってくる…。

「おはよう!!!!!」と彼は言った。

「ごめん、お腹痛い」とボク。

「大丈夫!? ここで待ってるよ!」と彼は言った。

終わった……。

「ごめん、ちょっとまってて」と伝え

トイレに行ってるであろう時間ないに急いで支度をして

何よりも、冷え性なので靴下を二枚重ねで1番暖かそうなハイカットのVANSを履いて

ボクは玄関を開けた…。

続く

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