鎌倉

えもーしょん 小学生篇 #47

鎌倉

2003〜2010/カイト・小学生

Contributed by Kaito Fukui

People / aug.25.2020

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#47
「鎌倉」
(2003〜2010/カイト・小学生)

すっかり涼しくなって

「紅葉はいつから?」なんて言葉を

耳にするようになった。

「お肌が乾燥しちゃうううううううう」

って、小さな鏡を見ているのは

あっちゃん。

あっちゃんは、近所では1番可愛いと言われている

高校2年生の女の子。

自慢じゃないけど、多分ボクのことが好きだ。

小学5年生と、高校2年生。

ボクからしたら、あっちゃんはもう立派な大人だけど

それがいいのかどうかはわからない。

思いきって、あっちゃんをデートに誘ったある秋の日

「今日は鎌倉が波いいらしい」

と、本当かどうかわからない

とにかく感で誘ってみた。

「えー、行っちゃう?」

と、断られると思っていたボクは意外な返事に驚いた。

そして、「やっぱりボクのことが好きだ 照」

と、確信した。

ボクらは、引地川沿いの小学校の前で待ち合わせ。

ママチャリにキャリアを付け、サーフボードを積んでいるあっちゃん。

カゴには、ウエットスーツとタオルが入っている。

「き、着替えが見れるのか!?」

一瞬ドキッとしていると

「行こー」

と、あっちゃん。

先を走るあっちゃんの、ママチャリのサドルから

こぼれるお尻を追いかけ

大きな坂道も頑張って登った。

体力がないオトコなんて思われたくないから

「ねーねー今日なに食べたー?」

と、ひたすらどうでもいい事を聞き

ボクは、全然余裕だぜ! オーラを出していた。

が、

江ノ島を過ぎたあたりから

あっちゃんの様子が怪しくなってきた。

「あっちゃん大丈夫?」

「大丈夫じゃ無かったらどうするの?」

ああ、やばいなこれ

お、大人になるんだ!

「あっちゃん、一回休憩する?」

「いや、いい」

「なんか飲む?」

「いい」

「あ! もう少しだね!」

「どこが?」

「ほら! 2.5キロって!」

「って事はあと30分かぁ」

「…」

「辛いなぁ」

このままでは、次の言葉はおそらく

「帰りたい」

正直なところ、ボクも帰りたい。

でも、なんか今日はチューで出来そうな気がして

帰れない。

あっちゃんを元気付けようと

「あっちゃん! あっちゃんソング歌っていい?」

と言った、すると

「いや、いい」

と、あっさり断られた。

昨日から、必死に考えた渾身のラブソング。

フラれた気分で、落ち込んでいると

それが、面白かったのか

あっちゃんが笑っている。

「え? 歌っていいの?」

と、聞くと

「あ、それは大丈夫」

と、にっこり笑ったあっちゃん。

「あぁ、やっと着いたね」

目的地の、七里ヶ浜にやってきた。

続く

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