えもーしょん 小学生篇 #18
男が1人、ソファに倒れている。
2003〜2010/カイト・小学生
Contributed by Kaito Fukui
People / 2020.02.27
小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!
#18 「男が1人、ソファに倒れている」
(2003〜2010/カイト・小学生)
頭が、クラクラする。
とにかく、着替えて
ママに言おう。
とにかく…
とにかく…
と、力を振り絞り
階段を登る
途中のカーブで
ひと休み
眠ってしまいそうだ。
眠って、そのまま
死んでしまいそうだ。
ダメだ。
頑張れ
と、登る
一段、
また
一段、登る
ついに
リビングまで、やってきた。
「お帰り〜」
と、ママが言った。
ボクは、何も言わずに
ソファに倒れ込んだ。
天井が見える。
ゆっくり、動いている。
凄い。
遂に、空間までも
操作できるようになったのか
このタイミングで…?
と、思った。
しかし、息をしている感覚がない。
物凄く、浅い。
虫の息。
とは、この事か。
「ちょっと!!!大丈夫!!!!???」
よかった…
と、深い眠りにつく。
zzzzzZzZZZZZZZ
ゆっくりと、暗闇から
光が見えた。
部屋が見える。
上から、見下ろす。
そこには
1人の男が、ソファに倒れている。
どうやら
具合が悪いらしい。
誰かが、近づいてくる。
母親だろうか
心配している様子だ。
男は、ピクリとも
動かない。
母親は
慌てて、電話をする。
再び、暗闇が広がる。
すると、今度は
左の方に、光が見えた。
光の方に向かうと
ゆっくりと
光が広がる。
隣の家の、リビングが見える。
そこにある
ソファに、1人の男が倒れ込んでいる。
どうやら、具合が悪いらしい。
すると
誰かが、近づいてくる。
母親だろうか
心配している様子だ。
男は、ピクリとも
動かない。
母親は
慌てて、電話をする。
再び、暗闇が広がる。
今度は、下の方に
光が見える。
再び、光の方に向かうと
ゆっくり、光が広がる。
走っている。
とにかく、急いで走っている。
ある、家に着くと
1人の女性が
泣いて、駆け寄って来た。
なにを言っているのかは
わからない。
家の中に入ると
1人の男が
ソファに倒れ込んでいる。
男は、ピクリとも動かない。
タンカーに乗せて
車に乗せる。
男は、ピクリとも
動かない。
暗闇が広がる。
今度は、少し右上に
光が見えた。
そこへ向かうと
ゆっくり、光が広がる。
小さな、車の中を見下ろす。
沢山の、機械や薬が
積まれている。
3人の人の頭が見える。
2人は、男。
水色の洋服を着て
マスクをしている。
もう1人は、さっきの母親だろうか
心配そうにしている。
真ん中には、さっき
ソファに倒れ込んでいた
男が、寝かされている。
腕には、点滴がされている。
水色の洋服を着た
男が
寝かされている、男に
何か、話しかけている。
しかし、男は
ピクリとも動かない。
暗闇が広がる。
左下に光が見えた。
続く…
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Kaito Fukui
1997年 東京都出身 幼少期から波と戯れ、サーフィン、スケートボード、恋に青春。 あの時、あの頃の機微を紡ぐように幾層ものレイヤー重ね描き、未来を視る。 美化されたり、湾曲、誇張される記憶を優しく繊細な浮遊感で!