眩しくない青春

えもーしょん 高校生篇 #46

眩しくない青春

2013〜2016/カイト・高校生

Contributed by Kaito Fukui

People / sep.07.2020

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#46
「眩しくない青春」
(2013〜2016/カイト・高校生)

高校生といえば、屋上で昼寝。

屋上でお弁当。

屋上で告白…etc

とにかく、屋上に憧れていた。

まさか、鍵が掛かっているなんて

誰が想像するだろうか?

小中学生の頃に見た恋愛映画の中で

主人公が屋上でキスをするシーンを見て

「いやいや、屋上行けないだろ…」

と、思ったことがある人はクラスで何人いるだろうか。

ここからは、完全にボクの話になってしまうから

どうか、お時間と心に余裕のある方は聞いて欲しい。

そもそも、高校へ進学するつもりがなかったボクは

受験勉強はもちろんしていなかった。

とにかく、勉強しなかったが

唯一それっぽい事といえば

面接練習だけ、なぜか毎回楽しくて

授業に参加したのを覚えている。

面接練習と言っても、ひたすら質問されたことを

質問仕返す、プチ尋問のようだったけど

それが、意外と先生たちの間では評判が良かった。

評判が良すぎたのか、ある日

校長室に呼ばれた。

中に入ると、校長、副校長、学年主任の先生が待っていた。

「どうぞ」

と、校長の一言

部屋にポツンと置かれたパイプ椅子。

には座らず、フカフカのソファに座ると

「高校生活で楽しみなことはありますか?」

と、聞かれた。

「もし、行くならやっぱり屋上ですね」

「屋上?」

「はい、かっこいいブレザーを着て目の前にはバーバリーのマフラーを巻いているミニスカの美女が見えます。彼女1つ年上で今まさに、ボクに告白をしようとしています」

「映画の見過ぎよ、かいとくん」

「先生は高校生活で1番楽しかったことは何ですか?」

「初めて彼女ができたことですね」

と、校長。

今でも忘れまい。

校長先生の、初めての彼女は初子ちゃん

あまり可愛いとは言えないが、平均よりちょい上だった。

と、言っていた。

初子ちゃんは、絵を描いていて

高校の部活は美術部だったそうだ。

しかし、お世辞にも上手いとは言えず

結局、画家を諦め

逆に、美術の先生になったそう。

そう、校長先生の奥さんだ。

「この近くの高校があと3年で廃校になってしまうんだけど、行くかい?」

「うーん」

「まぁ、ボクから聞いたとは言わないでね」

「恐らく、恐らくだけど普通の高校は屋上へは基本上がれない」

「でも、あの高校はとっても自由だから…」

「君が思い描く美女がいるかいないかは別として」

「土台はあるかもしれない」

と、校長先生は言った。

時は流れ、眩しい日差しが差し込む美術室。

目の前には、噂の初子先生。

校長先生に騙されて入学した高校はまさかの

1クラスしかなかった。

屋上なんて、諦めた。

ボクの眩しくない青春時代。

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