かいとくんの方がチョコ多くない?

えもーしょん 小学生篇 #27

かいとくんの方がチョコ多くない?

(2003〜2010/カイト・小学生)

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.04.22

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#27 「かいとくんの方がチョコ多くない?」
(2003〜2010/カイト・小学生)

「かいとくんの方がチョコ多くない?」

梅雨入りした、日本列島。

テレビの中から

美人キャスターが

「今週は、どんよりしたお天気が続きそうです」

そう言っている。

毎朝、毎晩、バローズのお散歩へ。

外に出るボク、雨の日は憂鬱だ。

しかし

雨だろうと、嵐だろうと

元気よく短い足に、わがままボディの

バローズは、今日もタマタマをぶらぶらさせるのだ。

「バローズ、もう帰ろうよー」

家を出て、3つ目の電信柱に

バローズがマーキングをする。

ビーサンで出てきてしまったのは失敗だ。

海沿いの松林から飛んできた。

松の葉が、雨に濡れて

ビーサンと足の間に入って来る…。

なんとも、厄介なやつだ。

何度とっても、歩けば

また、ついてくる。

「帰るよーバローズー」

彼にそう、伝えると

「嫌だ」と、言わんばかりに

引っ張るバローズ。

「ボクも、嫌だ!」

と、最終奥義。

抱っこをキメて

12kgのフレンチブルドッグを抱き抱え

ビーサンと足の間に入る。

松の葉を我慢し家に戻る。

家の駐車場に着くと

ちょうど隣の家のさやちゃんが

ボクの家のピンポンを押そうとしていた。

ボクに気づいたさやちゃん

「あら、バロちゃん」

「今日も、よだれだらけね」

そう言って、ボクの後についてくる。

「どこまで行ってたの?」

「3本目の電信柱」

「ふふふ、すぐそこじゃない」

「寒いから…」

お風呂場でバローズを洗うボク。

窓越しに話しかけてくるさやちゃん。

「おいでー」

と、洗ったバローズをさやちゃんか拭いてくれる。

バローズは、嬉しそうだ。

吹き終わり

2階に登る。

「チョコチップメロンパン食べる?」

と、ボク。

「食べるー!」

と、さやちゃん

ソファに座り、パワーパフガールズの

再放送を見ながら

袋を開け、食べようとした時

「ちょ、ちょっと待って」

と、さやちゃん。

「ん?」

「いつも、思うんだけどさチョコチップメロンパンのチョコって全部数は同じなの?」

「えー一緒じゃない?」

と、食べようとするも

さやちゃんに手をつかまれる。

「絶対、一緒じゃないよ」

「さやちゃんは、どっちがいいの?」

「そう、そこだよね」

「チョコが多めで、お得の人とパンが多めでお得の人がいるよねきっと」

「いるね」

「暇だし、数えようよ」

「チョコ、取るの?」

「うん」

「チョコ取ったら、チョコチップメロンパンじゃないじゃん!」

「メロンパンだね」

「いや、メロンパンよりメロンパンじゃないよ!メロンの部分も取れちゃうもん!」

「じゃあ、パンだね」

「パン、だね…」

「パンは嫌だよ…パサパサだし…」

「じゃあ、どうする?このまま一緒言われてみればそうかもって事にする?」

「それも嫌だ…」

と、2人で合意し

チョコチップメロンパンのチョコを

取り出す作業に入る。

1時間後

「終わった?」

と、さやちゃん。

「終わった…」

「せーの! で言おう」

「うん」

せーの!

「36個」

と、さやちゃん

「32個」

と、ボク

「ほら! やっぱり!」

「違うね、数、違ったね」

「これ、どうする?」

「一回、取った場所に戻す?」

笑う、さやちゃん

「戻すの!?」

「戻せば、チョコチップメロンパンだよ」

「そうだね、戻そう」

「36個」

「32個」


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