初めての2次元の彼女

えもーしょん 中学生篇 #55

初めての2次元の彼女

2010〜2013/カイト・中学生

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.10.02

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#55
「初めての2次元の彼女」
(2010〜2013/カイト・中学生)

まだまだ、現役チェリーボーイだった頃の話

中学校に入学してすぐ

ボクは、学校で1番モテていたギャルに告白された

まさか、ボクがギャルにモテるなんて!

全く別の世界の人だと思っていたけど

せっかく告白されたから、「いいよー」と

そもそも、付き合うってなんなのかわからないまま

初彼女をゲットした。

しかし、ボクは完全に中二病中

彼女はそれを知らない。

放課後、ボクのホームルームが終わるのを教室の前で彼女が待っている。

もちろん、ギャルが教室の前で待っているから

今日室はザワザワし始める

ホームルームが終わると、「かいと一緒に帰ろ~」

と、彼女がやってくるけど

「ごめん、逆」や、「帰り道50mしかない」

とか言って全然帰らなかった。

「じゃ、帰ったら一緒に遊ぼー」

と、誘ってくれたけどこればっかりは

「ごめん、海行くから」

と、嘘をついて漫画を読んでいた。

だって、チューもしたことがないボクが

アダルト漫画を読んでいるなんて言えないからだ。

パパに貰った、書類ケース

中には、アダルト漫画が入っていた。

しかも、ボクは初めて2次元の女の子に恋をしてしまった

もう、読まずにはいられない。

でも、恥ずかしくて新しい物は買えない…

レンタルも、店員さんと顔見知りだから恥ずかしい…

どうしようか…

そんなことを考えていても、終わりはやってきた

ゆっくり、ゆっくり読んでいたけど

遂に、読み切ってしまった。

「あぁ、どうしよう。」

「本物の彼女より、漫画の彼女が好きなのに…」

どうしようもできない現実に、愕然としていた。

「しょうがない」

と、ボクは割り切り2次元の彼女と別れる決意をした。

「いつか、いつか必ず大人になったら買いに行くから」

そう言って、書類ケースに入れパパの部屋の机に置いた。

それから、3日ほどたったある日の朝

ボクは、寝ぼけていた。

寝返りをすると、枕の隣に硬い物が置いてあった。

「ん?」

瞬きの間に、魔法のケースが見えた!

「まさか、」

書類ケースを開けると

「2」の文字が

「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

なんと、パパが2巻を入れて戻してくれたのだ

ボクは、泣いた。

2巻を抱きしめ泣いた。

そして、2次元の彼女との再会を心から噛み締めた。

「ボク、もう浮気なんてしないから!」

2次元の彼女にそう伝え

その日の放課後、リアル彼女に別れを告げた

思いっきり、ビンタされると思っていた。

まさかの、本気の蹴りだった。

今週も読んでくれてありがとう。


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