多分

Emotion 第11話

多分

Contributed by Kite Fukui

People / 2023.07.26

「唯一無二の存在になりたい」オワリと「計画的に前へ進み続ける」カイト。ありふれた日々、ふわふわと彷徨う「ふさわしい光」を探して、青少年の健全な迷いと青年未満の不健全な想いが交錯する、ふたりの物語。


第11話

公園の噴水でオムツを履いた子供が遊んでいる。木のベンチか、大きな石を削ったベンチかどちらに座るか炎天下の中迷っている。石のベンチは水遊びをした誰かが座っていたのだろうか、少し濡れている。木のベンチは濃いめのニスを塗ったせいで恐らく高温だろう。

お尻が濡れるか、暑くなるかどちらか2択を迫られている。最初に熱い木のベンチに座って限界までお尻サウナ状態を我慢してから石のベンチの上の水が少しでも蒸発することを待つか。それとも、どうせ速乾素材のズボンを履いているのだから最初から石のベンチに座るか。。。。

迷っている間にも、ジリジリと太陽は昇りぼーっとしてきてどちらでも良くなった。
結局、石のベンチに座ったが石も高温で水は殆どお湯になっていた。どっちに座っても失敗だった、そもそもここに来た時点で僕は失敗している。

これこそまさに、今1番の悩みだ。
何かをしようとして進んでも、きっとまたそこで選択の連続が待っている。仮に2択を迫られた時、石と木のベンチのようにそもそもどちらも失敗だったらどうしようと。1番最初の選択を間違えたのならば、その先の選択も全て間違えになるのではないか。と考えて何も出来ないでいる。

対処の方法を知らないのかもしれない。経験が浅いから。起こってもいないハプニングにいつまでも恐れて、経験していないからいつまでも対処法がわからなくて。いつまでもハプニングにすら辿りつかない。

きっとこのままだと、夏が終わることくらいわかっている。

遠くから、スーツ姿とは打って変わって短パンタンクトップの荒れ果てたカイトがやって来る。


続く



アーカイブはこちら

Tag

Writer