Contributed by Kaoru

People / 2019.04.19

anna magazineが注目しているフードスタイリストの薫さんと、彼女の友人でマルチメディアコンテンツModels.that.eatのクリエイターPOJOさんがなんだか楽しそうな活動を始めようとしているらしい。

詳しく聞いてみたら、
ちょうど私たちが2019年から始動する、“自分たちらしく生きる女の子たち”を応援する「Girls Go West Project」と相通じるものがあった。「それならぜひ一緒にイベントをしようよ!」ということになったのが昨年10月のこと。

しばらくは日本とNYの間でLINEや電話で話し合って準備を進めていたけれど、2月に入ると薫さんがNYへ出発!イベントに向けて大きく動き始めた。この連載ではイベントまでの2人のアーティストを追っていく。

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2019/2/24

撮影2日目。今日はPOJOの友達2人と会えることになった。ランチはJessica(ジェシカ)と、そして夜はAlex(アレックス)とお食事。Jessicaはパスタを食べたいということで、ちょうどブルックリンのウィリアムズバーグに1週間前にオープンしたばかりのFORMAという自家製生パスタやさんで会うことにした。



ここでちょっと余談。1年ほど前にNYでFood On A Photographのzineを気になる本屋さんへ一軒一軒手売りで回っていた時、本を見た瞬間に取り扱いをする!と言ってくれたペイジは、ブルックリンにある料理本専門店、「アーケストラーダス」の店主。本屋さんの奥にはとっても可愛いレストランがあって、ペイジはそのメニュー作り(と今では気が向いた時だけ調理)もしている。イタリアンの血をひく彼女はお料理上手で、私は彼女が作るカリカリの(アメリカンな)パニーニサンドイッチが世界一美味しいと思っている。(サンドイッチ通いをして、彼女とは今ではだいぶ仲が良い)その彼女が今回おすすめしてくれたのがこのFORMA。





JessicaとPojoが先にお店に着き、お腹が空いていたらしい2人はすでに4種類くらいパスタをオーダーしていた(笑)Jessicaは韓国系のアメリカ人。会った瞬間のエネルギーがぱーっと明るくて、すぐに距離を縮めてくれた。ファッションと食べ物/お料理することが大好きでスタイリッシュなJessica。彼女にはモデルと普段のファッション関係の仕事以外に情熱を持っている活動がある。それがPeriod space (ピリオッドスペース) / 生理スペースというプラットフォーム。



「生理のことってみんな色々悩みがあるのに、それをオープンに話せる場ってなかなか無いでしょ?だから私はもっとみんなと情報をシェアし合って、悩みを解決したり、生理とうまくつきあえる環境を作りたいの」とJessica。彼女のブランドは少しずつ認知され始め、今NYで爆発的に話題のThinkxという生理用の下着ブランドとのタイアップ企画や、food periodという生理不純などが起きないような食べ物や食べ方を紹介する企業とコラボレーションしてイベントを開催したり、活動の幅を広げている。



POJOや彼女のように、自分たちが悩んだり疑問に思うことを、世界と共有する場をどんどん作っていくのがミレニアルたちは本当に上手いと思う。

シリアスなことも、シリアス過ぎないテンションで、みんながついてこられるように距離感も近くみんなに語りかけ、シェアし合う。年代によってこの考え方は色々だと思うけれど、自分たちがパッションを持って続けられる活動を人生の早々に見つけ、アクションを起こす彼女たちを私はリスペクトするし、これからどの様に活動していくのか、非常に興味がある。



彼女が「大好きだ!」というパスタを使った作品を作りたくて、帰国後何度も試作したけれど、残念ながら今回撮影した写真で作品は作れなかった。落胆と悔しさはあるものの、また次回NYに行った時再チャレンジする楽しみができたので、結果的に良い。(と思おうとしている)こんな風に、失敗するのもまた勉強になるコラボレーションの難しさと面白さ。1人では得られない体験と人との繋がり、本気のぶつかり合いが醍醐味なのだと知った。



※ヴィーガンのPOJOはチーズ抜きのパスタではお腹がいっぱいにならず、この後3人でPOJO一押しのヴィーガンピザ屋さんに寄った(笑)


さて、この日2人目のモデルはAlex。彼女はNYU(ニューヨーク大学)で女優を目指しながらモデルの仕事をしている、活発な女の子。お父さんはギリシャ人でお母さんはレバノン人というミックス。はっきりと綺麗な話し方をし、NYUに入るだけあって賢そうで、無邪気になったエマワトソンといった感じ。



大学2年生の彼女は現在よりレベルの高い演技コースを受講する為、お金が必要で、モデルの収入を増やすべく今よりもっと大きな仕事をできるエイジェンシーのオーディションを受けている、という話は私にとって新鮮だった。モデルをやっている子はモデル、という勝手な先入観があったが、確かにキャメロンディアスもモデルから始めて女優になったんだった、と思い直す。



このハイレベルなエイジェンシーに受け入れてもらう為にはあと少し体重を落とさないといけないのだそうで、この日はちょうど「キートーダイエット」というダイエット中だった。高カロリーで低炭水化物の食事を摂るダイエット方法で、ここ数年アメリカではメジャーになりつつあるらしい。日本でも一部では知られている様だが私はこの時初めて知った言葉だった。内容を聞くとなかなか食材の選択が難しい食事制限だなーという印象。



でもこの日私たちが予約したレストランはかなり評価の高いnurという創作中東料理屋さんで、人気メニューのなすのカルパッチョ(ベーグルにつけて食べるのが最高)があまりに美味しいので彼女も少し歯を食いしばりながら炭水化物を我慢している様子だった(笑)(ちなみにまた余談だけれど、このなすのカルパッチョは今回のNY滞在の中で断トツにNo.1で美味しいお料理だった。)



色々と好きな食べ物についてインタビューしている中で、徐々に彼女がオープンになってくれて、「サーモン」とか「キャロットケーキ」とか色々と言ったあげく、「アイスクリーム好き!」という本音がぽろっと出た。「あのカラフルなスプリンクルがのったやつ!」と、そのにこーっと笑った顔がなんだかめちゃくちゃ可愛くて、日本に帰って作品を作り始めた時、彼女の写真を眺めては「スプリンクののったアイスクリーム。。。スプリンクル。。。うーん、アイスクリームー。。。」と呪文のように唱えていた(笑)

どんな作品になったかは展示でのお楽しみ。




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続きは、4月23日(火)公開予定。

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【POJO】
フィービー ジョセフ(通称POJO) はModels That Eatのクリエイター。
11歳の時にNYでモデルとしてスカウトされ、13歳の時にNYのモデルエイジェントと契約した。
学業とモデル業を両立し多忙に過ごした5年後、業界を離れ、ボディーイメージやモデル業界での食べ物への考え方などを話し合う、マルチプラットフォームのModels That Eatを始めた。
現在、19歳のPOJOはNYのクリエイティブエイジェンシーで働きながら、モデルたちと日常的に食事している。

Models that eat
フィービー(POJO)によるマスチメディアプラットフォーム。フードのビデオブログやモッパン風のインタビュー、そしてモデルやロールモデル(お手本になるような人)とのリラックスしたコンテンツで、馴染みのあるSNSに新たな一面を加えるような内容になっている。
HP: https://www.modelsthateat.com/
Instagram:@models.that.eat
YouTube https://www.youtube.com/channel/UCNx3ENkOieKfOebVAMkK5KA/about

Food On A Photograph
フードスタイリスト薫によるパーソナルプロジェクト。写真の上に食べ物や料理などを乗せ、その写真を再度撮影する、というアナログかつシンプルな手法で3年半ほど制作し続けている。
2017年に東京渋谷のAbout life coffee で初個展「Food On A Photograph」、2018年にはニューヨークSOHOのCafe Integralで個展を開催。
Food On A Photographとして初めて作成したzine 「Audrey」はNYのMcNally Jacksonはじめ、LA、東京、京都など多くの有名書店で取り扱いされています。
Instagram: @foodonaphotograph


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