「mid90s ミッドナインティーズ」を語る男と女

TYPE OF MOVIE#12

「mid90s ミッドナインティーズ」を語る男と女

Contributed by LUKE magazine

People / sep.04.2020

同じ映画を観ているのに、男と女で感想がまったく違うことがある。印象に残っているシーンも、劇中の曲に対する評価も違う。「TYPE OF MOVIE」では、そんな男と女の感性の違いにフォーカスを当てながら、今注目の映画をご紹介! 第12回目は「mid90s」です。



「mid90s ミッドナインティーズ」を青春映画が好きで、「夏」という言葉に劇的に弱い男と平和なラブコメディが好きな女が鑑賞。


「mid90s ミッドナインティーズ」について


2度のオスカーノミネートを果たし、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』『マネーボール』『21ジャンプストリート』などの出演でも人気の実力派俳優ジョナ・ヒルが監督としての才能を開花させたデビュー作『mid90s ミッドナインティーズ』。ジョナ・ヒル自身の半自伝的な10代の想い出をもとに珠玉の青春映画へと作り上げられた本作でタッグを組んだのは、日本での『ミッドサマー』の大ヒットも記憶に新しく、『レディ・バード』『ムーンライト』などアカデミー賞の候補作を続々と送り出すなど、世界中の映画好きから注目の的となっている気鋭の映画スタジオ「A24」。懐かしくて新しい90年代への愛情と夢をたっぷりに描いた少年たちの成長物語はあらゆる世代の共感を呼び、ナショナル・ボード・オブ・レビューのトップ10インディペンデント映画にも選出、全米4館からスタートしたにも関わらず1200スクリーン超まで拡大するスマッシュヒットを記録した。本作は、ジョナ・ヒル自身が子供時代を過ごし、タイトルにもなっている、本作の象徴的なキーワード"90年代"の雰囲気と感覚を再現するため全編16mmフィルムにこだわって撮影されていることも魅力の一つ。スーパー・ファミコンやカセットテープ、ストリート・ファイターなど時代を象徴するような懐かしいアイテムが盛り沢山! 音楽はナイン・インチ・ネイルズのフロントマン、トレント・レズナーが手掛けるほか、ニルヴァーナ、ピクシーズ、モリッシー、シール、ファーサイド、ア・トライブ・コールド・クエストなど当時のヒット曲で彩られている。誰もが共感必至の主人公スティーヴィーを魅力たっぷりに演じるのは、『ルイスと不思議の時計』『聖なる鹿殺し』のサニー・スリッチ。母親ダブニー役に『ファンタスティック・ビースト』シリーズのキャサリン・ウォーターストン、兄のイアンに『ある少年の告白』『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のルーカス・ヘッジズと脇には人気・実力を兼ね備えた俳優陣が揃う。ライフスタイルがデジタル化される最後の時代――90年代のあの頃を背景に、誰もが経験する<青春>という魔法の季節を鮮やかに映した、青春映画のマスターピース。

あらすじ


1990年代半ばのロサンゼルス。13歳のスティーヴィーは兄のイアン、母のダブニーと暮らしている。小柄なスティーヴィーは力の強い兄にまったく歯が立たず、早く大きくなって彼を見返してやりたいと願っていた。そんなある日、街のスケートボード・ショップを訪れたスティーヴィーは、店に出入りする少年たちと知り合う。彼らは驚くほど自由でかっこよく、スティーヴィーは憧れのような気持ちで、そのグループに近付こうとするが…。



男と女の映画レビュー


Q1.作品を観る前に思い描いていた本作のイメージを教えて。


男/8、90年代のアメリカの中流家庭の子供たちならではの、「やみくもかつ理由なき不安」を描いた青春群像劇。最後は悲しい終わりに違いないと思っていた…。

女/インディーでめちゃめちゃ話題になってる映画ってイメージ。スケートを題材にした映画って増えたなって印象だったけど、なんか他とは違うって漠然と思っていた。





Q2.「mid90s」では、90年代の少年たちが色濃く描かれているけれど、あなたにはどう映った?


男/この映画には雨のシーンがひとつもない。そういえば、ティーンエイジャーだった頃の記憶って、カラッと晴れた日の記憶ばっかり。

女/新参者をいつでも受け入れてくれるあのスケート文化がやっぱりいいな、そこがなによりもクール! それに、お金持ちだから幸せとか、貧乏だから不幸せとか、そんな測られたものじゃなくて個人の生き方なんだよなと思った。





Q3.お気に入りのシーンを教えて!


男/スケートボードで成功したいと強く願うスケートクルーのリーダー・レイが言う。
「必死にくだらないことをやるだけさ」

女/夕暮れ時、車線の間からみんなでスケートに乗って向かってくるシーンが好き。スケーターの人の隣にいると、気がつくとスーっていなくなって、なんて自由なんだろうって思ったことを思い出した。身一つであんなになめらかに移動できるなんて鳥みたいで、それがわたしにはすごく自由に見える!





Q4.この映画の見どころは?


男/誰もがティーンエイジの一瞬だけに経験したはずの、家族でも友達でもない、特別な関係性の仲間たちとの特別な時間。自分のすべてだった兄貴が特別な存在じゃなくなったり、ずっと一緒だと思っていた親友と求めてる未来が違っていたり。仲間内でのヒエラルキーはくるくると変わっていくし、時にはふざけ続けることがわずらわしくなったりもするけれど、それでも仲間と「ただずっと、近くに寄り添って過ごす時間」のかけがえのない「意味」みたいなことをあらためて感じることができる。

女/時間が1時間と少ししかないのも潔いし、ほとんどビデオカメラでどこかの1日を切り取っただけのようなドキュメンタリーのようなリアルさ。





Q5.あなたが思うベストアクター賞は、だれ?


男/当然主役。サンバーン。仲間と出会い、日々、自分の世界が変わっていく瞬間瞬間のなんとも言えずワクワクしたような表情が最高。

女/ん~~~~~~~~~~~~~。スケートクルーのリーダー・レイかな、やっぱり。レイが救いで希望だった!





Q6.この映画に、あなたなりのキャッチコピーをつけるなら?


男/「必要、ないだろ?」

女/「映画を観終えて感じるざらっとした後味が青春の味」って感じ!(笑)



そして、3人目(スケートボードをたしなむ男)のレビュー


たかがスケボー、されどスケボー


今回の男女のレビューは、自分の青春時代と映画を重ね合わせる男の視点と一歩引いた目線で自分が思い描くイメージと作品を対比させる女の視点に分かれた。当然、男同志の青春映画なので、それぞれの視点は当たり前なのかもしれないけれど、主観的と客観的な感想の違いが面白かった。スケートボードをやっている自分にとっては、90年代のストリート、スケートカルチャーの側面からも作品を楽しめた。映画の中の時間だと1年も経たないうちに、主人公のスティーヴィーがすごい勢いで”成長”して、スケートボードのコミュニティに入っていくことで社会のことを知ったように感じた。ストリートカルチャーとはこういうものなんじゃないかとあらためて思った。お気に入りのシーンは、主人公のスティーヴィーが落ち込んでいたときに、レイが声をかけて一緒に滑りに行くところ。そういう描写はあまりなかったけれど、アフリカンアメリカンであるレイも日常的に苦しいことは多いはずなのに、誰よりも仲間のことを思って行動できることに何百倍も好感度がupした。あとは、あるシーンでスティーヴィーのお兄ちゃんがオレンジジュースをポケットから二本出すところも印象的だった。あの『スーパーバッド』で笑わせてくれたやんちゃなジョナ・ヒルがこんなセンス抜群の映画を作ったことにまずは大拍手。そして、90年代のL.A.を彷彿とさせるロケーションと衣装、音楽の完璧さに感動して欲しい。何より、スケートボードのコミュニティ感が上手く表現されてると思うのでそこも要チェック。スケートボードってなんか熱い! って思ってもらえるはず。青春映画が好きな人、90年代のカルチャーが好きな人、スケートに興味がある人たちにはぜひとも観てもらいたい。そして、鑑賞後にそのそれぞれの「青春」について熱く語り合ってみてはどうだろう。





【作品情報】
タイトル:mid90s ミッドナインティーズ
公開:公開中!
監督:ジョナ・ヒル『ウルフ・オブ・ウォールストリート』『マネーボール』(出演)
出演:サニー・スリッチ『ルイスと不思議の時計』『聖なる鹿殺し』、キャサリン・ウォーターストン『ファンタスティック・ビーストと黑 い魔法使いの誕生』、ルーカス・ヘッジズ『ある少年の告白』『ベン・イズ・バック』、ナケル・スミスほか
配給:トランスフォーマー
公開劇場:新宿ピカデリー、渋谷ホワイトシネクイント、グランドシネマサンシャインほか全国ロードショー中
オフィシャルサイト:http://www.transformer.co.jp/m/mid90s/
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