ボクのバローズ。

えもーしょん 小学生篇 #10

ボクのバローズ。

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.01.03

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#10 「ボクのバローズ」
(2003〜2010/カイト・小学生)

それは、本当に

突然の事だった。

いつものように、ブラウン管テレビを

ぶっ叩き、

「痛えぇぇぇぇぇ!」と叫んでいると

「かい〜!」

パパが帰って来て、少し優しい声で

ボクを呼ぶ。

「はーいー」

と、階段を降り玄関へ向かう

ママが、少しニヤニヤしている。

ん????????

「ちょっとおいで」と

はたまた、珍しく

優しい声で、話しかけるパパ。

ボクは、靴を履き

パパについていく。

くっそぉぉぉぉ!!!

このジジイ、このタイミングで

車の自慢かよ!!!

と、心の中で怒鳴りながら

車の方へ向かう。

すると

「遅くなって、ごめんな」と

パパが、車のトランクを開ける

すると

中に入っていたのは

黒と、茶色の毛が少し混じった

赤ちゃんの、フレンチブルドッグが!!!

その瞬間

ジングルベルが大音量で体中を鳴り巡った

パパと、ママの声なんか聞こえない。

ボクの、この犬の2人だけの世界。

つぶらな瞳でボクを見つめる犬。

泣きそう……………。

パパ、よくやった!

と、心からこの瞬間だけは

好きになってしまいそうだ。

「抱っこしていいの?」とボク

「いいよ。優しくな」とパパ

初めて犬を抱っこする。

赤ちゃんのように

そおうっと、包むように

抱き抱え、頭を撫でる。

ブヒブヒ、言っている……

「名前は?」

と2人に言うと

「バローズ」と2人揃って言った。

ママの好きな俳優

リンカーン・バローズから

とったらしい。

バローズかぁ。

かわいいなぁ。

パパ「これから、ちゃんと散歩いけよ」

もちろん!

しかし、赤ちゃん過ぎて

まだ、外での散歩は出来ないらしい。

家の中に迎え

パパとママが買ってきた

犬用のおもちゃで

とってこーい!を教えても

すぐ寝てしまう、バローズ。

「赤ちゃんだから、そっとしてあげて」と

ママ。

はぁ、ボクのクリスマスプレゼント🎁

ボクの、犬

バローズ❣️

この時は、まだ知らなかった。

彼の本性を

まだ、誰も…………。


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