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Emotion 第40話

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Contributed by Kite Fukui

People / 2023.09.14

「唯一無二の存在になりたい」オワリと「計画的に前へ進み続ける」カイト。ありふれた日々、ふわふわと彷徨う「ふさわしい光」を探して、青少年の健全な迷いと青年未満の不健全な想いが交錯する、ふたりの物語。


第40話

全ての事がどうでも良いと感じるほど、睡魔との戦いに限界を感じた頃自分の家の前に到着した。ここまで連れて来てくれたカイトに丁寧にありがとうと伝えたいけれど、言葉が全然出て来ずありがとう。気をつけて。だけ伝えた。彼は何かを話していたが、夢を見ているようにどれだけの時間が過ぎたかも何を話していたのかも覚えていなかった。しっかりした意識で最後に見た彼の姿は、曲がり角を曲がるバイクの赤いライトに照らされた後ろ姿だった。

バイクの気配がなくなると、家に向かった。玄関を開けて少し篭った空気だが気にならない、さっきサービスエリアで入った温泉に感謝してベットに沈んだ。念のためカイトにありがとう。とメッセージをしたいけれどベットの上ではそれは無理だった。

翌朝、目が覚め携帯を見ると6時だった。疲れ切って寝落ちした日ほど早起きするか眠れないかの2択で今回は早起きの方だった。こんな時にぼーっとベット上で過ごしても体が固まって具合が悪くなるので諦めてパソコンを片手にカフェに向かう。

隣の家のお父さんと玄関を出るタイミングが一緒だった。こんなに朝早くからどこまで通勤するのだろうか。そんなことを考えていたが、電信柱を3本過ぎる頃にはもうとっくに忘れていた。そんなことよりも、カフェに向かう途中の道に新しい駐車場が出来ていた。ここにどんな建物があったのか全く思い出せなくて悲しい。しばらく立ち止まって考えて見たがやはり何も思い出せなかった、このままだとモヤモヤしたまま1日を過ごして結局思い出せず後悔が心に残る気がしたのでパン屋さんがあったことにして音楽を聴きながらカフェに向かう。

カフェに着くと窓際の席に座り、いつもよりも大きいサイズのコーヒーを買って昨日の夜に連絡が出来なかったカイトへありがとう。とメッセージを送った。これで旅は終わった。


続く



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