仮病の末路

えもーしょん 高校生篇 #52

仮病の末路

2013〜2016/カイト・高校生

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.10.06

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#52
「仮病の末路」
(2013〜2016/カイト・高校生)

小学生の頃はお腹いと言ったら、みんなから心配されたのに

「薬飲めば?」とあっさり流されてしまうようになったのはいつからだろうか。

前にもお伝えした通り、ボクは偏頭痛の達人だ。

気圧がどうとか、そんなかわいいもんじゃない。

朝一発目のウンチがちょっとゆるいと

病気なのでは? と心配になり緊張型頭痛が始まる。

緊張型頭痛が始まると、頭痛から逃れようと深呼吸をするが

深呼吸をしすぎて、過呼吸になりブラックアウト。

気づけば病院で点滴。

だが、そんなことよりもボクは仮病に関しては

小さい頃からプロ中のプロだった。

始まりは、定番のお腹痛いから始まった。

最初のうちは「大丈夫? トイレ行く?」なんてみんな言ってくれた。

あの頃はみんなが優しかった。

チヤホヤされたいボクにとっては至福の時間だった。

そう、あの座薬事件までは…。

ある日、いつものように学校へ行きたくなかった。

「おはよー、お腹痛いから今日行かなーい」

と、家族に伝え部屋に戻りアニメを見始めた。

が、何故かこの日に限ってかなり心配したのか

ママが部屋にやってきて

「今週ずっとお腹痛いって言ってない? 便秘?」

と、言った。

「あー、確かにちょっと便秘かも」

そう言うと、「便秘って放っておくと大変なんだよ!?」

と、まさに昨晩テレビで仕入れた情報をぶつけてきた

「大丈夫だよ、別に『仮病だから』」

「いや、ちょっと今から病院予約してくる」

ママはそう言って、出ていった。

病院って…まぁ薬もらっておしまいだろぅ。

そう思っていた。この時は

時間になったので、病院へ行きすぐに案内された。

「なに? 若いのに便秘なの」

便秘に若いもなにもあんのかよ。と隣の看護師さんが睨んだ

「ほれ、見せてみ」

おじいちゃん先生は、ちょっとしっとりした手でボクのお腹を

揉んだり、揺すったり、つねったりした。

すると

「うーーーーーん」「どんくらい出てない」

と言った。

「いやー、どれくらいかなぁ1週間くらい?」

さっき、家を出る前にもウンチをして

しかも、ちょうーーーー快便だったのに。

「1週間!?」

「ダメだ! ちょっと、あれ座薬」

おじいちゃん先生は、隣の美人看護師さんにそう言った

一瞬、「え?」という間があったが

看護師さんは、戸惑いながらもなにかを取りに向かった。

この時ボクはまだ、座薬を知らない。

「??????????」

可哀想に…。

ママのそんな顔を見ていた。

続く


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