えもーしょん 大人篇 #53
アルバイト
2016~/カイト・大人
Contributed by Kaito Fukui
People / 2020.08.19
小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!
#53
「アルバイト」
(2016~/カイト・大人)
スーパーのレジ募集の広告を見て
面接へ行ったものの
タトゥーが入っているから。と
不採用となり
少し、元気を出そうと
スーパーの中にあるハンバーガー屋さんへ行った。
すると、そこで働いた
店員さんが、ボクよりももっと
ザ・入れ墨!
というような、入れ墨が入っていて
つい、「ボクもタトゥーがありますが平気ですが?」
と、尋ねた。
「大丈夫だよ」
そう言われたボクは、持っていた履歴書を渡し
ハンバーガーを食べていると。
「君、採用」
の、一言
あぁ、その言葉を待ってました。
久しぶりに、職を得たボクは
嬉しくなって、好きなお惣菜を全部買った。
翌月までのお金のことなど気にもせずに。
お腹一杯になったのに
なぜか、とてつもない
罪悪感がこみ上げてきて
悲しくなってきたので眠った。
翌朝
アラームをかけなかったことにハッとし
目が覚める。
なんと!ちょうど2時間前に目が覚めたのだ。
ラッキー!
毎朝のルーティーン
コンビニへ行き、wifiを借りる。
小一時間、Instagramを見て
ないとわかっていても
一応、仕事の依頼が来ていないかと
GMAILもチェック。
もちろん、来ていないが
いつか、売れっ子になった時のために
習慣にしている。
いつか…
家に戻り、特に持ち物を聞いていないので
手ぶらで、向かう。
新しい、バイト先までは
自転車で3分弱
家の前の、大きな坂を下って
右に曲がるとすぐにスーパー。
その、スーパーの一階の1番端の
1番奥にあるハンバーガー屋さん。
そこが、ボクの新しいバイト先だ。
「おはようございまーす」
と、挨拶すると
やはり、暇らしい。
レジの横の外から見えない位置に置かれた椅子に
昨日の、店員さんが座っていた。
「あ、おはよう〜」
「ちょっと待っててね〜」
と、何かプレートのような物を持って
「ちょっと、クローズ」
と、言い
お店を閉めた。
お店の奥の事務所へ向かい
色々、説明を聞く。
どうやら、この店員さんは
店長で、今1人しかいないらしい。
「いやー助かったよ〜」
「おれ、1人でさぁ」
「本当に、まじでお客さん来ないから勉強とかしたかったあそこの下でしていいからね!」
「本当ね、1日5人来たら忙しいって感じかな」
「時給は¥1.200ね」
と、店長
「え!?¥1.200!?」
「え?なに?低い?」
「いや、高い!」
「頑張ってちょうだいよ〜」
もうこれは奇跡か!?
と、思うほどに理想的なバイト先
初日は、お客さん0人だったが
店長は、「メニューを全部食べるまで帰れません。」
と、言い
2人で全てのメニューを作り、食べて終わった。
なんていい、バイトなんだ!
と、ウキウキしながら1日を終えた。
次の日、また昨日と同じ時間に出勤。
「今日も、お客さんは来ない」
と、言われ
レジの横の、外から見えないテーブルで
ボクは、絵を描いている。
3時間くらい経った時
「どうする?そろそろ休憩する?」
と、店長が裏からやってきた
「あ、はい。そうします」
と、ボク
「なに食べる?」
「んーポテトと、ハンバーガー」
「ドリンクは?」
「コーラで」
「いいねぇ、おれもそうしよう」
「作ってみるかい?」
「いや、店長が…」
「ふふふ」
「誰かと食べるハンバーガーはいいね」
「?」
「体に悪いとわかっていても、なんだか笑顔で食べれば罪悪感がないね」
「そうですね」
「ラブ&ピースだね」
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Kaito Fukui
1997年 東京都出身 幼少期から波と戯れ、サーフィン、スケートボード、恋に青春。 あの時、あの頃の機微を紡ぐように幾層ものレイヤー重ね描き、未来を視る。 美化されたり、湾曲、誇張される記憶を優しく繊細な浮遊感で!