モテたかった

えもーしょん 大人篇 #55

モテたかった

2016~/カイト・大人

Contributed by Kaito Fukui

People / aug.21.2020

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#55
「モテたかった」
(2016~/カイト・大人)

先に、少し誤った方がいいかも

ごめんなさい。

いや、謝るのは

失礼かもしれない。

けれど、もし嫌な思いをしてしまった方が

もし、もし、本当にもし

いるかもしれないので

先に、謝りました。

さて、正直に

ボクは、モテたい。

男として、生まれたからには

やっぱりモテたいのです。

どこから、モテるに入るのか

これが、また難しい質問ですね。

ラブレター何通から。と明確な物が

欲しいのですが、時代が違う。

下駄箱を開けたら、ラブレターが

どっさりこぼれ落ちる。

なんて、妄想は遥か昔の話。

好きな、女の子から

告白されたら、ボクはモテるに入ると思う。

が、しかし

そんなことは、夢のまた夢の話

あぁ、モテたい。

先日、どうしてもモテたいボクは

素直にお世話になっている人のもとへ行き

相談しに行った。

「モテたいけど、モテない」

そういうと

「モテたいと思っている時点でモテない」

と、言われた。

「髪の毛を捨てたお前に明るい未来はない」

とも言われてしまった。

あぁ。

自慢じゃないが、ボクだって

2、3年前までは

立派なシティボーイのように

シティな髪型をしていた。

けど、風の強いある日

友達と、街を歩いていると

風に吹かれ、髪が靡いたボクの額を見て

友達が、かいとハゲてる?と言った

「かいと、ハゲてる?」

「かいと、ハゲてる?」

「かいと、ハゲてる?」

この言葉だけが、その瞬間

ループし始め。

気になって、気になって

鏡の前で、ボクはハゲてないと

自問自答を繰り返した。

「ハゲたら、坊主」

いつか、お母さんがおじいちゃんを見て

そう言った。

おじいちゃんが、ハゲだから

かいとは、絶対ハゲる。と

あぁ。

気がつくと、ボクはバリカンを手にしていた。

そして、気がつくと

坊主になっていた。

セルフカットは、汚かったので

知り合いの美容室へ行くと

「かいと、ハゲじゃなくて富士額だから気にすることなかったのに」

の、一言。

ボクは、この時

もう、外見ではなくて

中身を見てくれる人。

運命の人だけでいいんだ。

そう、自分に言い聞かせたつもりだが、

いつになっても、現れない。

あの映画の、カンナのような

絶世の美女がいつか

「か、かいとくん」

「す、好きです…!」

と、体育館の裏で言ってくれる日は来るのだろうか…

明日はきっと。

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