初めての個展

えもーしょん 大人篇 #48

初めての個展

2013〜2016/カイト・高校生

Contributed by Kaito Fukui

People / sep.09.2020

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#48
「初めての個展」
(2013〜2016/カイト・高校生)

高校2年生、冬。

海沿いの冬は意外と暖かい。

ボクだけかもしれないけど、東京よりも

暖かい気がする。

とはいえ、ボクは重度の冷え性で

2月になると、スニーカーを履けない。

地面の冷たさと、薄い生地ではボクの足が限界を迎える。

どれくらいかというと、まず小指の感覚がなくなって

次第に、腫れてきて硬くなってしまうほどだ。

いまだ、解決策は見つかっていないけど

最近になって、冷え性でも快適な靴を見つけた

クラークスのデザートブーツの? ゴアテックスのもの。

ソールが硬いし、防水なところがなお良い。

話は戻って、初めての個展は

自宅の倉庫だった。

三畳ほどの物置倉庫の中を

ぜーんぶ外に出して、中をすっからかんに

なぜか、壁に飾らず

床にラグを敷いて、地面に置いていた。

肝心な、お客さんは

もちろん、なんにも告知をしていないから

待てど、待てど

誰も来なくて、前を通った近所の中学生が

気を使ってくれたのか、お菓子を持って遊びにきてくれた。

「アートわかんないっす!」

と、彼は言った。

ボクは、モナリザよりも価値がある。

そう言って彼に絵をプレゼントすると

彼は、にこりと笑って帰っていった。

初めての個展は、大変だった

寒いし、誰もこないし、アニメ見れないし

値段は1つ千円だった気がする。

今よりも、もう少し落書きに近かった。

当時描いているときは、全力で模写したつもりなのに

どんなに頑張っても、棒人間にしかならなくて

泣きそうになったりもした。

美術の授業で、真剣に先生に相談したけど

生まれ持ったものだからしょうがないと言われ

枕を濡らし、鼻水をすすった。

キャンバスに書くのがあまり好きではなかったのか

いつもいつも、木版の描いていた。

全然、絵具が伸びねー!

なんで!?

と、アホなことを言いながらも

必死に書いていた。

そんなある日、もうそろそろ

誰かに認めてもらいたい。

そう、感じた。

それは、進路相談の時間に

画家は難しい。と先生に言われたから

その、反抗で思ったのかもしれない。

結果、家の倉庫で大スベりしたボクは

初めて、自分の絵について分析した。

そして、初めて

本当に生まれて初めて、自分の画力にショック。

嗚咽して泣いた。

続く

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