魔法の腹毛。

えもーしょん 大人篇 #11

魔法の腹毛。

2016~/カイト・大人

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.02.17

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#11
「魔法の腹毛。」
(2016~/カイト・大人)

うおおおおぉぉおぉおおぉぉお!

よっしやぁぁぁぁぁぁぁ!

見慣れた、景色

見慣れた、家具

見慣れた、部屋

見慣れた、顔の男が

ベッドの上で、飛び跳ねている

「ちょ、まじか!」

早く、連絡しなくちゃ!

と、どうやら

お世話になっている人へメールを打っている

とにかく、嬉しそうだ

震える手を、抑えながら

必死にタイピング

次は、デスクに向かい

スケッチを始めた…

目の前が、暗くなり

気がつくと、今度は

夕方になっていた。

男は、まだ

同じ場所、同じデスクで

スケッチを書いている。

、、、?!

お、気づかれた

男は、幽霊を感じたかのように

ゆっくり

恐る恐る、振り返り

部屋の天井を見上げる。

思わず、男と目が合ってしまった。

あぁ、、、

彼は、ボクか。



って事は、また

夢を見ているな。

その瞬間

スゥーっと

目がさめる。

ふぅ。

一息つくと

なんだか、みぞおちらへんが

ムズムズする。

Tシャツをめくり

見てみると

「え?!!!!!!」

おへそから、約5センチ上

真っ白でもない、透明でもない

変な色の毛が、20cm程生えている!

おかしい!!!

こんなに、長くて

変な毛が、生えていたら

気づくはず!

と、すぐさま

携帯を探し

「腹毛 透明 突然」

と、検索

しかし、それらしき

症状、いや

現象は、特に載っていない

少し、安心した

もし、これが

何かの、病気のサインなら

今の時代、殆どの

確率で、何かしら

インターネットに乗っているはずだ。

しかし、まぁ

これは、一体

なんなのだろう。

そんなことを、考えながら

歯を磨き

シャワーを浴びて

洋服に着替え

家を出る。

家から、駅までの道

カーブを曲がるたびに

首元から

謎の、腹毛を見ていた

「やっぱり、夢じゃないよなぁ」

電車に揺られ

うとうと、

眠りにつく…


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