取り残される

Emotion 第13話

取り残される

Contributed by Kite Fukui

People / 2023.07.31

「唯一無二の存在になりたい」オワリと「計画的に前へ進み続ける」カイト。ありふれた日々、ふわふわと彷徨う「ふさわしい光」を探して、青少年の健全な迷いと青年未満の不健全な想いが交錯する、ふたりの物語。


第13話

これは、何の罰ゲームなのだろうか。友人のカイトが溢れる気持ちを吐き出したあと、結局答えが出ずに黙ったまま1時間が経過した。

僕たちはまだ、ベンチに座っている。

僕たちには何ができるのだろうか、何が向いているのだろうかと悩んで悩んで考えても答えが見つからない。「止まらずに進み続ける事が大切だ」とよく人は言うけれど、止まってもいないしそもそもスタートしていない僕らは完全に世界に取り残されている気分だ。

空を見上げれば雲が動いている、悩める僕らを置いて。

噴水で遊んでいた子供たちはいつのまにか、帰っていた。悩める僕らを置いて。

結局今日も、自ら熱中症になりに行くように炎天下のなか、何が出来るか悩んではただ日焼けして1日が終わろうとしている。やりたい事は特にない。
やってみたい事は、、、、、特にないのだ。

けれど、何かしてみたい気持ちは高まるばかり。溢れるやる気を放出して、今日も僕は家に帰る。

また明日、バイト先のカフェにやってくるポルシェに乗ったカッコいいお客さんに憧れるのだろう。自分を投影して妄想して、バイトの時間が終わるのだ。

そうして帰り道、自分は何者なのかまた悩んで休みの日は今日のような日を迎える。。。。

ふと、隣に座るカイトを見た。何も思わなくなってしまった。最悪だ、こんなに面白い人間を見ても何の感情も湧かないなんて。いや、むしろこれは面白いかもしれない。

試しにブログでも書いてみるか。


続く



アーカイブはこちら

Tag

Writer