「また明日」で終わる日々の尊さ

To Me, Somewhere in the World #38

「また明日」で終わる日々の尊さ

Contributed by Yoko

Trip / 2022.08.03

「世界一周がしたくて、思い切って会社をやめた」
未知なモノすべて知らないことを知りたい、欲望に忠実に生きるフリーランスのWebライター・編集者Yokoさん。日本国内の旅の話をリアルタイムで、時に振り返りながらつづる旅連載。


#38

ついに長野に移住してから1年の記念日を迎えた。もう半年、もうすぐ1年、もう本当に1年……と謎のカウントダウンも過ぎ去り、このたび本当に1年を越えた。1サイクルを経験して思うことは、住めば都とはよく言ったものだということ。季節を一周すると、もう怖いものは何もない(ような気がする)。

ただ、今の場所は今まで住んだ土地の中では最も田舎。各方面から来る人たちが指定の土地に集まる時は、それぞれが別の車(自家用車)で来る場面にもよく出会う。そういう時は自分も車が欲しい、など思うけれど、思うだけ。過ぎ去った1年、車がなくても土地の中心地付近に住んでいれば、それほどの不便はなかったから。

ロッテアライリゾート。



さて平日に県境を越え、大自然の中で大人たちと遊んできた。友に車で迎えにきてもらい、新潟・妙高のリゾートへ。欠員補充のお誘いを、ありがたくお受けしたのは数日前。その後もそれぞれに予定変更など色々あり、当日もさらに人数変更。何とかたどり着いた先には、想定以上に深い谷底の上を一気に下るジップラインが待っていた。何でも日本一、いやアジア最長級で約1,501mのジップラインだという。標高約950m地点から710m地点まで約3分間かけて下るという、そんなしっかりした事前情報を飲み込まないまま現地に向かったため、山を登りに登ったスタート地点にたどり着いた瞬間は、やや絶望したことをここに申し添えておく。

そう思わざるを得ないくらい、スタート地点からゴール地点までの眺めが谷底……というか地面までの距離が本当に遠かった。例えづらいけれど、上級者コースのスキー場のリフトで頂上まで上がって、初級・中級者コースと合流するくらいの中間地点まで一気に滑り降りるような感じ。ジップラインは2人ずつのスタートで、最初の2人を見送ったあとに自分たちの番が来た時は、谷底を覗きながら「ああ……」と絶望したけれど、スタートしたら楽しかった。物事は大体そういう風にできている。

ここはゴール地点。


ハーネスをつけて、ヘルメットをかぶって滑る。


道の駅でランチ。



山を降り、急な仕事でジップラインスタートに間に合わなかった友と合流し、近場の道の駅で昼食をとる。近距離移動だからと一人の車に5人で乗り込み、ああ何か青春っぽいこれ(大学生みたい)と一人で思う。満腹中枢を刺激しまくる量の美味しいご飯をいただいたあとはリゾートに戻って、せっかく来たのだからと違うアクティビティに参加。ハーネスをつけて、足場の不安定なアスレチックを歩く……という、みんなでやれば絶対楽しいアクティビティに。でも足場の不安定さから来る恐怖よりも、怖がりまくってる友が可愛すぎて面白かった(ごめん)(笑)。

気まぐれ天気。



あっという間にお別れの時間。さすがに「また明日ね!」とはいかないけれど、「また遊ぼうね!」とは言える。そんな大人の友(初めましての人もいたけれどもう友ということで)がいることは、とても幸せだなと思う。そして肩を寄せ合ってみんなで乗った乗用車、みんなで遊べた平日、「また遊ぼうね!」で終わった今日が、学生の頃に当たり前にあった日常の幸せに重なる。尊すぎて切ない。でも昔も今も、同じように尊いのであった。

こんなに楽しかった今がここにあるから大丈夫。今はここで、生きていく。


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