自分らしくいられる時間

Greenfields I'm in love #8

自分らしくいられる時間

Contributed by Aya Ueno

Trip / 2020.06.12

直感を信じ、ドキドキするものに向かって走り続ける神戸出身の大学生、Aya Uenoさんの連載「Greenfields I'm in love」。自分探しも兼ねたロンドンでの留学生活で、自分の目で見て、肌で感じたありのままの日々の記録をお届けします。

#8

ロンドンで、新しい趣味ができた。週に5回のランニングだ。(あとの2日は休んでいいと決めている)
はじめに言っておかないといけないけど、私は全然走るのが好きじゃない!それでも走ることに決めたのは、最近、段々太ってきたとを感じているから。
私の母も学生時代にドイツ留学をしていて、あまりにも太って帰ってきたので、その変わり果てた姿を見て(本来母はすごく痩せている)友達から 「もしかしてオギ(母のあだ名)?」と言われたらしい…。母はこの話をよく懐かしそうに笑いながら話すけど、笑えない。だから私は意を決して、夜ごはんの前に走る時間を設けたのだ。
家から出てさえしまえば、帰ってくるために足を動かさざるを得ないし、早く帰りたければ走らざるを得ない。

家から500メートルくらいのところにある、大きくてだだっ広い公園を2周して帰るのが、わたしのランニングコース。ただ走るだけじゃなくて、この公園には、野外ジムみたいなものがあって、筋トレできる器具を誰でも使うことができた。公園を2周回ると、ちょうど夕陽が落ちる時間で、空がいつもすごく綺麗だ。走り終わった後、筋トレを始める前に、腹筋用の平たい器具に寝そべりかえる。仰向けになりながら、ぼーっと1日を振り返って、音楽を聴くこの時間ほど落ち着く時間はなく、渋々はじめたランニングだったけど、次第にわたしのお気に入りの時間になっていった。
音楽はというと、最近イギリスのロックバンドにハマっている私は、ザ・ヴァクジーンズや、エルボー(特にThe Blanket of Night!!)をよく聴く。

公園から見たある日の空の写真。



ルームメイトのナタリーが帰った日の夜、暇だったので親友のいさおを誘って遊びにいくことになった。この日はオーバーグラウンドに乗りついで、イーストロンドンへ行った! 行き先はすっごく素敵なルーフトップバー。外観からは、その中にバーがあるとは分からない。私たちは入り口に描かれている壁絵が気に入って、写真を撮った。

外にあった壁。「これ、いいね!」と話すいさお。



建物の中に入って、1番上まで階段で登った。カジュアルな雰囲気で、座って飲んでいるおしゃれな人がたくさん! 私たちは1番奥の柵に背を合わせて、たくさん話した! よく考えたら2人っきりで遊ぶのは大学一回生の時ぶり。いさおとロンドンで過ごす時間は、日本とはまた違って新鮮だったし、彼はロンドン芸大でアートを学んでいるから、それについて聞くのもすごくドキドキした。私もアートカルチャーを勉強したい!
下へ降りると、分厚いドアの向こうにはかるく踊れるスペースがあったり、座って飲めるテラスがあったり、このフロアもすごく素敵だった!
いさおが連れて行ってくれるところはいつもすごく可愛くて、わたしのお気に入りになる。

さて、4月も最後の週なった! 1カ月があっという間に過ぎようとしている。学校は1時に終わるのだけど、火曜日はほとんど毎週学校のクラスメイトとカフェでお喋りするプログラム(そして好きな飲み物が無料で飲める)に参加して、他の日もどこかしら出歩いていた。
そういえばランニングが好きになった以外に、もうひとつ変わったことがあって、それは少し前まで実は苦手だった1人の時間が好きになってきたこと。友達とランチしたり、遊ぶ日もあるけど、そうでない時は1人でただ散歩して景色を眺めたり、街ゆく人を人間観察したりして時間を過ごす。そうしていたら、目の前の何気ない景色が映画みたいに見えてきて、なんだか自分がそんな映画の中にいるみたいな気持ちになる。
よくショーディッチへ行っていたけど、たまには買い物をしたくなってオックスフォードストリートへ。ここはいつも人だらけだ。その中でもオックスフォードサーカス駅へ続く階段の入り口は絶えず人で溢れかえっていて、その密度は一際。



階段の奥へと吸い込まれる人々。



最後の週末には、ずっとずっとずっと楽しみにしていたことがある。フランスに留学中の友達のまりかが、遂にロンドンへ来てくれる。まりかとは、中高大(高校なんか、3年間隣の席だった)、そしてアルバイトも、遊ぶグループも同じで、なんでもずっと一緒だった。そんな彼女は私より2ヶ月早く留学していたので、会うのは3ヶ月ぶり。そして一緒にヨーロッパで過ごすのは去年の夏の終わりに2人っきりで行ったパリとニースの旅行ぶりだ。この旅行は私たちにとってとびきり思い入れのある旅だった。大学生になってから、アルバイト先の仲良しグループでよく海外旅行をしていたけど、このフランス旅行は、グループのなかでもダントツで頼り甲斐のない私たち2人きり。想像通り、本当にハプニングが尽きなかったけど一緒に乗り越えて、以前に増してもっともっと仲良くなった。この時は2人ともまだ、「留学に行きたいなあ」と頭で思っていただけだったので、半年経った今、お互いヨーロッパで留学していると思うと、なんだか感慨深い。ロンドンへ来てから殆ど毎日連絡を取り合っているけど、実際会って話したいこと、連れて行きたい場所はもう既に沢山あった!
まりかに会えるのが待ち遠しい。

つづく。


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