Scent of country#0004

ぼくの行きたい町。at Vietnam

Photo&Text: SHINNOSUKE YOSHIMORI

Trip / 2019.03.05

AM6:00、昨日の大騒ぎが嘘のように静かな街があった。
湖のほとりでは、地元の人々がのびのびと太極拳に励んでいた。まさに平和そのもの。
あぁなんて贅沢な時間なんだろう、何も考えずにぼーっと歩いていられる。手厚いガイドのツアーより、豪華なレストランでのディナーより、自然体で過ごせるこういう時間の方が好きだ。


中心地から少し歩いて、昨日から目をつけていた牛肉フォーのお店へ。行列ができていたが、観光客は一人もいない。よし、アタリだ!
軽く湯通しした半生の牛肉入りのフォーを一杯、値段は50,000ドン(約250円)。
見た目でわかった、絶対美味しいじゃん。一口、やっぱり美味しかった。牛ダシが効いたスープにホロホロのお肉、今でも思い出せる最高の味だった。

それからはハノイの街をぶらぶら。
コーヒーを飲んだり、コーヒーを飲んだり、コーヒを飲んだり...一生分のベトナムコーヒーを嗜んだのではないだろうか。
なんだか落ち着いてしまう街だ。
ホーチミンも素敵なところだったけど、こじんまりとしたハノイの方がなんだか自分に合っている気がする。

4日目にはハロン湾へ。
ベトナムが誇る世界自然遺産で、この旅で絶対に行きたかった場所の一つだ。
漢字では「下竜湾」と表記される。その昔、隣国中国がこの地に攻め込んできた時に天から竜の親子が降りてきて中国軍を撃退、その際に吐き出した宝玉が、数々の奇岩となって海面に突き刺さり湾の島々になったという言い伝えがある。
ハノイからは高速道路を使って、2時間ほど。
途中休憩で寄ったパーキングエリアが意外なほど綺麗で驚いた。
ようやく港に到着、いい天気だ。
早速船に乗り込み湾へ出る、今日はこのまま船に泊まる。世界遺産の中で眠るなんてものすごく贅沢だ。今夜も気持ちよく寝れそう。

そういえば、船で一晩を過ごすのは久しぶりだな、オレンジフェリーの記憶が蘇る。
ぼくは高校の頃ボート部に所属していた。全国優勝を幾度も成し遂げている強豪校で練習も人一倍きつかった。その中でも特に辛かったのが年末の筋トレ合宿で、高校のある熊本からフェリーに乗り、わざわざ愛媛のトレーニンジムまで3泊4日で練習に行っていた。行きと帰りに乗るオレンジフェリーにはそれぞれ一泊ずつ。固い枕にブーブー文句をいいながら、部員みんなで雑魚寝したのは今となっては本当にいい思い出だ。

話が脱線したが、とにかくハロン湾は圧巻だった。
去年アラスカを訪れたときもそうだったが、人間の力では到底及ばないような、雄大な自然。
いや、そんな言葉の枠にも収まらない、地球が持つパワーのようなものを目の当たりにした。
島々の間を穏やかに進む船、停泊して小さなボートでビーチのある小島へも行ったりした。
小島はTHE観光地といった感じで世界中からの旅行客たちで溢れていたが、たまにはそういうのも悪くない。夜にはイカ釣りもしたりして(1杯も釣れなかったけど...)ハロン湾での時間は本当にあっと言う間に過ぎていった。
翌日、ぼくの乗った船はゆっくりと港に戻り、それからまたバスで空港へと向かった。

ベトナムという国はエネルギーの塊だと思った。
人間も自然も素直にシンプルに、だけどとても大胆に自身の持つエネルギーを発していた。
ありがとうベトナム、楽しかった!

また旅に出よう、ぼくの行きたい町を目指して。




























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