The Second-Hand Shop

世界のリサイクルショップ -イタリア編- #6

Contributed by Fumito Kato

Trip / jan.31.2020

雑誌、広告などの撮影の傍ら、世界各地のリサイクルショップを巡り、その国のカルチャー、埋もれゆくプロダクトの発掘をライフワークとして活動しているフォトグラファー加藤史人さん。今回、彼が訪れたのはイタリア。旅先で出会った魅力的なヴィンテージアイテムや食べ物の数々は、必見です。

#6

10/9(wed)

6:30
気付くと夜明け前だった。
いつの間にか寝落ちしていたらしい。
コーヒーをたて、テラスで朝日を拝みつつ一服する。
イタリア煙草は味の濃いものが多いが
エスプレッソとの相性は抜群だ。
料理同様、その土地の風土から生まれた味なのだろう。



ここはミラノ・マリッティマにある古いホテル。
ボローニャの南東、ラベンナの南側に位置する海辺の保養地だ。
20世紀初頭に観光地として開発されたこの地区は
海とゴルフ以外、特に取り柄があるわけでもないので
シーズン・オフのこの時期は閑散としている。
次の目的地はボローニャだったが、
海辺でバルコニー付き3000円という条件に吸い寄せられた。
それに、このエリアにはリサイクルショップも多い。



海の家のスタッフらしき人々は、朝から忙しい。
カヤックを洗う水しぶきが光と交錯し、ふわふわと揺らめく。
Wi-fiもネスプレッソもない部屋だが、
このバルコニーと景色だけで満足である。
まどろんでいる間に、結構な時間が過ぎていた。
そろそろ、出発しなくては。



9:00
松のトンネルをくぐり、街を出る。
チェゼーナ、フォルリからボローニャへと続くルートだ。
民家、ホテル、バール、廃墟。点在する人工物以外は
延々と平ぺったい農地と森がつづく。
退屈極まりないこの光景も、
晴れた朝の光の中では少しだけ凛としてみえる。







道中では時折、小規模な渋滞に遭遇する。
車列の先頭には小さな三輪車。
ベスパで有名なピアジオ社のオート三輪Ape(アペ)だ。
アペはイタリア語で働き蜂、
ベスパはスズメ蜂という名前が示す通り、
この三輪車は大したスピードを出すことができない。
彼らは畑の脇や国道沿いの小道から不意にあらわれ
車たちを従えながら、同じような側道へと姿を消す。



このようなオート三輪は、
日本では過去のものとなってしまったが
ここイタリアでは、ごく小規模な範囲を
生活圏とする人々の足として、
また、狭い道が多いエリアでの商いなど
まだまだ活躍の場があるようだ。
旧市街などの景観保護区では
ZTLと呼ばれる車両侵入禁止エリアがあり、
許可車両以外の車の立ち入りができないが、
このApeはバイクや自転車と同じ扱いらしく
通行可能であることも理由のひとつだろう。
いずれにせよ、Apeは古い街並みによく合う。
イタリアを象徴する風景のスパイスとして
欠くことの出来ぬ存在に違いない。

11:30
いくつかの店をめぐり、チェゼーナを抜け、
小さな空港の裏手にあるリサイクルショップ
Rovistiamo nell'usatoに到着した。



フォルリ郊外にあるこの店も
委託販売の形式をとるリサイクルショップ。
雑然と生活用品が並ぶコーナーに加えて
コレクション向けのアンティークのコーナーも
設置されており、オーナーのセンスも相まって
午前中から宝探しをする人々で賑わっている。


TRE SPADE製のスペース・エイジなコーヒーミル、Tipo 900(左奥)も。


ビンテージのパスタ・マシーン。麺文化圏のエミリア・ロマーニャならでは。


思わずジャケ買いしたくなるカセットテープは1ユーロ均一。





ここでは、小物類と80年代のものと思われる
MANDARINA DUCKのスーツケースを購入。
40ユーロと安くはなかったが、デザインと
深いエメラルド・グリーンのキャンバス素材、
そして、状態の良さが決め手になった。
これで心置きなく、買い付けが続けられる。


Rovistiamo nell'usatoでの収穫物たち。

お店の方々は快く取材を受けてくれたが
ひっきりなしに来る客の対応に追われていたので
彼らの写真は断念。礼を言い、店を後にした。




Rovistiamo nell'usato
Via Filanda 8, 47121 Forlì
営業時間:
15:00〜19:00(月曜)
10:00〜12:30/15:00〜19:00(火曜〜土曜)
日曜定休


アーカイブはこちら。

Tag

Writer