Los Alamos

Los Alamos

ロサンゼルス郊外の隠れた名所。

Contributed by anna magazine

Trip / 2017.11.15

サンタフェやアルバカーキなどで知られるニューメキシコ州にある街「ロスアラモス」と同じ地名がカリフォルニア州にあることはあまり知られていない。その名前の由来については諸説あるが、ロサンゼルスとサンフランシスコを行き来する人たちの間では経由スポットとして、ハリウッドセレブの間ではロサンゼルス郊外の隠れた名所(Hidden Gems)と呼ばれている。人口2,000人にも満たない数ブロックの小さな小さな街が旅の行き先だ。





ロサンゼルスのダウンタウンを出発し通勤ラッシュで混み合う国道101号線(通称ワンオーワン)を北に向かって走ると30分もしないうちに広大な自然が現れる。特に今年の冬はカリフォルニアにしては珍しく雨が多かったため、普段ベージュで覆われた山々が鮮やかなグリーンに包まれている。いくつもの丘を越え、その風景に慣れてきた頃にはベンチュラ郡にさしかかっていることに気付く。ベンチュラといえばサーフスポットとアンティークショップで有名な昔ながらの雰囲気が残る街。そしてパタゴニアの本社があることでもお馴染みだ。海岸線に沿ってさらに車を走らせると、途中アムトラック鉄道のパシフィック・サーフライナー号が山壁をバックに快走するシーンに出くわす。絵に描いたような景色を横目に心地よい風を浴びながら、カリフォルニアらしいドライブが楽しめるのも醍醐味といえる。そうこうしているうちに目の前にはスペイン調の街並み、サンタバーバラの広大な景色が広がってくる。ハーレーにまたがり北を目指すカップルと、お互いの目的地やどこから来たのかなんて雑談し、旅の健闘を祈ったりするのもロードトリップ的だ。国道101号線を1時間ほど進むとようやくロスアラモスの看板が現れた。遠慮がちな古めかしい看板だがどうやら到着したようだ。






この街の目抜き通りはベルストリートと呼ばれ、その両サイドにカフェや郵便局、ガソリンスタンドなど最低限のお店がまばらに並んでいる。そんな中、街で唯一のベーカリーショップ、ボブズウェルブレッドをのぞくとボブ本人が笑顔で出迎えてくれた。1920年代のガソリンスタンドをベーカリーショップに改装し、本格的なパン作りで地元の活性に貢献。この街の新たな顔として人気を集めているようだ。ほかにもアーティストとして絵を描きながらアンティークショップを経営する気難しそうな初老男性やサンタバーバラのワインを試飲させてくれる愛想のいいワインバーの女性などキャラクターのある人々に出会えた。歩いても10分もかからないこの通りで忘れてはならないのが、1983年にマイケル・ジャクソンとポール・マッカートニが発表した『Say, Say, Say』のミュージックビデオの撮影場所、ユニオンホテル。1880年築の木造2階建ての古い建物は現在バーとして使用され、その建物に入るとタイムスリップした気分を味わえる。新旧入り混じったこの小さな街に流れる空気感はのどかなのに決して古臭くない。ロサンゼルスから2時間半、隠れた名所は街の人たちとの出会い、おいしいパンやワインを堪能できる場所。大きな目的を決めない旅でもいいんじゃないかと思わせてくれる街がカリフォルニアのロスアラモスなのかもしれない。





写真:217..NINA/文:山野 恵

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