Couch Surfing Club -西海岸ロードトリップ編- #39
The Pumpkin Bread
Contributed by Yui Horiuchi
Trip / 2023.04.27
#39
いよいよ越境を翌日に控え、食材の整理や家の掃除をした。
食材の整理といっても処分に困った野菜やキムチなどは全部刻んでお好み焼きの具材にするかスロージューサーで飲めるようにしてしまったので大して困ることはなく。
軽く朝昼兼用のフォーを作るのにも前日の晩御飯に作ったオニオンのスライスをグリルしたものと、ゴミ捨ての日に皮を捨てるために絞っておいたレモン汁を入れて、キッチンで栽培していたグリーンオニオンを鍋の上から直接キッチンばさみで切りながら投入していく。
まな板も包丁も使わない、若い頃にユースホステル滞在で身につけたずぼら調理、人に出す料理じゃないし良しとしよう。
「いい匂い、何作ってるの?」
「超貧乏フォー」
一人分のライスヌードルを片手で軽量し、鍋に入れようとしているわたしの手元をずっと見ている友人。
「。。食べる?」
「うん!!」
そう言って満足気に食卓を片付け始めた。
美味しいければよしと作り方をどうこう言う友人じゃなくてよかった。
わたしは手に持っていた分と袋に残っていた一人分のライスヌードルをひっくり返して全部鍋の中に入れた。
フォーを食べながら、犬のシャンプーの予約の電話を入れる友人。
これから行くポートランドではAIR BNBに滞在するので、一緒に旅をする犬も少しよそいきの格好をしていくわけだ。
犬のシャンプーついでに自分も髪を切ってくると言って出かけた友人が、5分もしないうちに犬だけいなくなって一人スタバの袋を抱え戻ってきた。
「ヘアサロン月曜休みだったの知らなかった」
「残念、でもそのままでも十分だと思うよ」
「明日また行けたら行ってみる。はい、これパンプキンブレッドとバナナブレッド買ってきた」
「うわさのパンプキンブレッド!」
一緒に買ってきてくれた抹茶ラテを飲みながら食べ比べをする。
「めっちゃふわふわだね、確かに味は似てるかも、でもパンプキンの風味が全然違う」
「でもやっぱりYUIのキャロットケーキの方が素材感があって、味は似てるけどこれとは全然違う」
「うん、自分でいうのもなんだけど、わたしも自分のキャロットケーキの方が好きだな」
味見だけして犬の迎えに向かった。
下段の奥から二つ目体格には合わないゲージの中でこちらを一途に見つける犬を見つける。
顔に「出して」とかいてある。
お店のスタッフさんに出してもらうように伝える。
シャンプーしたての犬は石鹸のアロマに包まれていい匂いがする。
ようやくゲージから出れて興奮しまくっている犬は店内のカバーがされていないおやつを勝手に一つ口にくわえて店を飛び出した。
先に車に乗せた犬をここぞとばかりに撫でまわし店内で会計を終える友人を待っていた。
くわえたおやつはいつの間にか駐車場に吐き出していたらしい、どうやらお口に合わなかった様子。
友人の犬は水が大の苦手。
シャンプーのストレスも大きいだろう。
家に帰って食べ慣れているいつものおやつをあげた。
「今日何する?」
「半コースだけゴルフしようかな」
「いいね」
「犬の散歩のついでに一緒に行く?」
「いや、今日は家のことやっちゃいたいからわたしは家にいるよ」
洗濯機と乾燥機を5回転させて、ポートランドに持っていくベッドシーツや毛布も全て洗った。
洗濯物をローテーションさせている間、食洗機も二回転。
キッチンのコンロを二つ同時に使ってキムチ入りのお好み焼きも22枚焼く。
焼き終えたお好み焼きを一旦熱さましのためオーブンにしまった。
冷蔵庫が綺麗に片付いたことを確認し、扉を閉じながら目線をキッチンとダイニングに移した。
あとは、生活スペースの掃除をしたら今日のところは一旦落ち着くかな。
ゴルフから帰ってきた友人と犬の散歩に行く。
今日の散歩は手短に済ませて早めの夕食にスライダーとファーマーズピザを食べた。
なんてアメリカンな絵面。
今日も夕食が二回、、笑笑
オレンジみたいで味もフルーティーで新鮮なトマトを使ったピザがすごく美味しかった。
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Yui Horiuchi
東京を拠点に活動するアーティスト。幼少期をワシントンD.C.で過ごし、現在は雑誌のイラストや大型作品まで幅広く手掛ける。2015年に発表した「FROM BEHIND」は代表作。自然の中にある女性の後ろ姿を水彩画で描いた。自然に存在する美や豊かな色彩を主題にする彼女の作品は海外でも評価されている。