隣り合うアート vol.1

No Sleep Ever #17

隣り合うアート vol.1

Contributed by Chika Hasebe

Trip / 2023.11.10

「NYは毎日どこかで何かしら起きている、本当に忙しい街」目標に向かって、自ら道を開拓し続ける会社員・Chika Hasebeさんが、眠れない街NYへ旅に出た。誰よりも好奇心に従順な彼女だからこそ感じる、NYでの新しい発見と、心揺らすできごと。

#17


MoMA、メトロポリタン、グッゲンハイムなど世界的に大きな美術館が溢れる街。NYで活躍したアーティストは、Andy Warhol、Jean-Michel Basquiat、Jackson Pollock、Keith Haring……と枚挙にいとまがない。やること盛り沢山なNYだが、せっかくならアートに触れる時間も作りたいもの。名画から話題のモダンアートまで観るものがたくさんあったのでシェア。




入場無料について

地球の歩き方をはじめとする多くのメディアで、NYの美術館には入場料無料の日があるとの情報が。

半分本当で、半分嘘。

がわたしの所感。以下、2022年5月時点の情報だが誰かの参考になるといいなと思っての記録です。

グッゲンハイム、MET、ホイットニー、MoMAでは入場無料システムが存在したが、METとMoMAはNY在住者のみ(METはニュージャージー、コネチカットの学生も含む)との条件付き。観光客にとって在住証明は難しいので、実質無料入場はできない。ちなみにわたしはNYの滞在にサブレットの制度を使用したので、その契約書を提示したところパス。あまり日本でサラブレットの制度は一般的ではないが、こういう時に便利。ただしホテルやAirbnbに泊まっている限りはできなさそう。

グッゲンハイムとホイットニーは在住証明が不要な代わりに、事前の予約が必要(ただ前者は予約した覚えがない)。また、グッゲンハイムは土曜の夜、ホイットニーは金曜の夜と時間の限りもあり。ウェブサイトにある予約スロットが埋まると無料入場はできない。感覚的にはすぐ埋まっちゃう感じはないのでそこまで焦らなくても大丈夫そうではある。ただ、いずれも夕方以降にしか入場できないので、じっくり作品を見たかったわたし的には、常にお尻を叩かれている感じもした。

ちなみにMoMAを除いていずれも「Pay What You Wish」制度なので、本当はタダではない。ドネーションボックスにチップを入れるタイプではなく、チケットカウンターでスタッフに「いくら払いますか?」と聞かれたときは、ちょっと気まずい気持ちになりながら「$1でお願いします」と言ったのを覚えている。



Whitney Museum of American Art



滞在期間中初めて訪れた美術館。現代美術館だからか、コンセプチュアルなアートが多く、入場者も結構オシャレで身軽な人が多いのが特徴的だった。作品自体は、大物はこれだ! というものはなかった印象。もしかしたら気づかなかっただけかもしれないけれど。











フェリーのような形をしている美術館。展示の導線上には屋外の展示もあり、マンハッタンの景色が望めるスポットも。夜だったこともあり寒かったが、夏は気持ちがよさそう。



MoMA(The Museum of Modern Art)



とにかく広かったMoMA。入ってすぐの広間ではデッサンのワークショップが開かれていて、入場者はそれをすり抜けながら展示室に入っていく。もしかしたらこれ以外にも展示室への導線はあるのかもしれないが、みんなが何かを作り出している瞬間を目にしながら入場するのは面白い。

入ってすぐモネを見つけ、その後もダリ、ゴッホ、ピカソ、クリムトなど著名作家の作品が次々と目に入ってきた。年代別に常設コレクションが配置されており、とにかく作品数が多く一つ一つじっくり眺めていると時間が吸い取られる。






New Museum



Bowery地区にある現代美術に特化した美術館。建物自体も妹島和世が設計に関わっており、かなり前衛的。2022年5月はFaith Ringgoldというアメリカ人画家の企画展が行われていた。彼女は従来より政治的なメッセージを込めた作品を制作することが多いそうで、今回の展示でもアメリカの国旗や有名絵画をモチーフにした作品をよく見かけた。



そのほか彼女の得意とするキルト作品も目についた。キャンバスではなく、重量感のあるキルトにドローイングが描かれている。そのほか、ほぼ等身大の人形作品もあり、彼女の作品の幅はかなり広いことが伺えた。



ミュージアムショップには、卵型のマラカスが。旅のお土産を美術館のショップで買うこともしばしば。選んでいてワクワクする。

あんまりNYに来て、訪れる美術館リストに入らないイメージだが、現代美術が好きな人にはかなりおすすめな場所。そのあとLower Eastでご飯を食べるのもあり。



Guggenheim Museum



螺旋状のスロープが特徴的な美術館。建物を見に行くだけでもかなり価値がある気がする。当時、入場は予約制だったのと、本当に無料入場の日があるか定かではなかったので、普通の日の朝イチに入場予約をしてみた。朝現地に行ってみると、建物をぐるっと囲むように入場に長蛇の列が。開館前だったからかもしれないが、それにしても普通の開館日にしては並びすぎな気がした。

予約したからには並んでみるかと、開館時間を待ってみた。30分以上並んでやっと入ることができ、入ったタイミングで入場無料日があるかどうか聞いてみたら、毎週土曜にやっているとのこと。なんだ今日じゃなくてよかったじゃないかと思い、雨の中退散。でもどうやったら無料の日に入場できるのか、ホームページには掲載されておらず、実際に来てみるまでわからなかった。なのでいい気づきとボジティブにとらえよう。

土曜の夜に再入場したときは、エントランスまでそこまで時間がかからなかった印象。列の動きもサラサラしていてすぐ入れた。入ってすぐ思わずうっとりしちゃうのは、螺旋状スロープ。ガラス張りの天井を見上げると、クリーム色で統一されていることも相まって、本当に巻貝の中にいるみたいな気分になる。



上に上がってみると絵画と人が階下に見える。カンディンスキーの作品は、最初は色の組み合わせが素敵で丁寧に見ていたが、途中から作風がリピートしているのでスロープをするすると降り始め、作品をスキップするようになってしまった。




vol.2はMETとギャラリーたち!



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Writer

  • Chika Hasebe

    1998年生まれ。2023年5月よりロンドンに拠点を移し、報道記者の仕事に従事する一方、フリーライターとしてカルチャーについて発信もしている。