Hit the Road #1

北海道ロードトリップーコロナへの逆襲ー

出発前

Contributed by Natsumi Chiba

Trip / sep.25.2020

東南アジアをはじめ世界中を旅してきたNatsumi Chibaさん。コロナ渦の中で、海外へ自由にいくことができない今、彼女が向かったのは北海道。Road tripをしながら雄大な北海道の大地を駆け巡るニューノーマルな旅の模様をお届けします。

#1

「4月6日。職場がゴールデンウィーク明けまで休業になった。自分が家に居ることで、自分自身と誰かの命を守ることになる。そんな異常な状況が始まった」

日記を振り返ってみると、こんなことが書いてあった。1月、2月はまだ他人事であった新型コロナウイルスは、3月頃から私の日記に必ず登場するようになり、そして6月に入った途端、定例文のようにある一文が多用されはじめた。

「私は今頃、本当はカナダに居るはずだった」

去年3ヶ月の東南アジア旅を終えて、次はどうしようかと考えながら過ごしていると、やっぱりもっと旅がしたい、環境を変えたい、自分のことを知っている人が誰も居ない所へ行きたい、という気持ちが日に日に強くなっていくのを感じていた。

目まぐるしく毎日は過ぎて行き、ワーキングホリデーに行ける年齢制限がいよいよ近くなってきて、初めて年齢的な焦りを感じた。大きな決断をする時にいつも考えることは、「これをやらない事で、自分は後悔するだろうか?」だ。私はいつもそうして荒々しくも、滞った事態を刷新することで、自分自身を新しくしてきた。新しい場所で新しい人達に出会い、新しい考えを知る。そのためにエネルギーを燃やしてきたが、得体の知れないウイルスによって、急にゴロゴロゴロッと転がりながら振り出しに戻された。起き上がった時に「あれ?なにがしたかったんだっけ?」と首をかしげてしまうような、そんな感じだった。

こんな状況にいるのは自分だけではない。そのなす術の無さが、次第に私を苛立たせることはなくなったが、その反面、無気力な日が多くなった。どこにも行けないのなら仕方ない。そう自分に言い聞かせ、料理のレパートリーを増やし続ける日々だった。

そして7月未明。物議を醸し始めたGoToトラベルキャンペーン。私は心の中で誰かに尋ねた。「旅していいの?」と。しかし、Yahooニュースの辛辣なコメントを読んで、やはり今は旅するべきではない、歓迎されない旅はしたくないと自分を納得させていた。

今になってみると、その頃の自分がなにをしていたのか、なにを考えていたのかがおぼろげで、輪郭がほとんどない。きっと私はこの2020年は退屈で最悪だと素直に認めることが怖くて、そんな日々を記憶に残すことを無意識にストップしていたのかもしれない。

それからしばらく時が経ち、感染者数も減り始めてきた頃。アフターコロナやニューノーマルといった言葉が馴染み、ぎこちないながらも、色々なことが変化し始めた。働き方も変わってきているし、街に並ぶ飲食店のウィンドウやイベントの告知には「感染対策しています/お願いします」の文字。模索して工夫しながら進み始めているみんなを見て、それなら私もそろそろ進んでも良いのでは? と、だんだんと気持ちが上に向いていった。

そんな時、友達が「北海道行かない?」と誘ってくれた。北海道なら自然が多くて、人口密度も低いし、キャンプ場を周るロードトリップならソーシャルディスタンスもしっかり取れるはずだと、二つ返事で誘いに乗った。

体力のあるうちに遠い所へ旅をしようと思い続けて、ついつい後回しにしていた国内旅をこんな形で、まさに今、このタイミングで始めることになるとは思ってもみなかった。不本意ながらも、これはある意味コロナが導いてくれた旅だ。

物理的にも精神的にもかなり停止したけれど、そろそろアクセルを踏んで走り始めよう。もう戻らない時間を取り戻すくらいに、この北海道の旅を楽しむこと。それが、今までずっと負け続けていた私が仕掛けるコロナへの逆襲。久しぶりに背負うバックパックはすごく軽く感じる。さて! 始めよう。私のニューノーマルな旅。

続く


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