ACME Buying Diary #7

家具ブランドACME Furnitureの買い付け日記

Contributed by Kenichiro Tanaka

Trip / jun.23.2020

インテリアブランドACME Furnitureの海外買い付けの模様をレポート。どこで、どんな風に、なにを見つけて日本へ商品がやってくるのか。ディレクターの田中健一郎さんがリアルなバイヤー視点で紹介していきます。

#7

カリフォルニア出張8日目。
今日は新しい買付け場所を開拓する予定だ。
先日フリーマーケットで新たに知り合ったディーラーのカルロスが、倉庫に大量の家具を在庫しているとのこと。
受け取った住所を地図で検索すると、ちょうどロサンゼルスとラスベガスの中間辺りの町のようだ。
距離にして約150マイル(約240キロ)、ナビの予測時間は2時間半だが、トラックは乗用車ほどスピードが出せないので、もう少し時間が掛かるであろう。



アメリカに来てから午前中は毎日どんよりした曇り空が続いていたけれども、今日は朝から気持ちの良い青空が広がっていた。
長時間の運転では晴天が最高の条件だ。気分爽快でハンドルを握る。
目的地の情報はカルロスから受け取った住所のみ。
どのような場所にどのような家具が保管されているのだろうか、という想像に期待が高まる。

しばらくするとロサンゼルス郊外を取り囲む山脈に近づいてきた。
大きな山々は日本で目にする緑の豊かな山とは違い、乾いた山肌が延々と続く。



フリーウェイを走っていると、車線の一番左が追い越し車線で、場所によってはそこが有料レーンになる。「以前ここもそうだったかな?」と思い返してみる。近年有料レーンが増えたらしい。
うっかり標識を見落として有料レーンを走ってしまうと、ナンバーを控えられてレンタルトラック会社を通して、罰金が加算された料金の請求が来てしまう。
フリーウェイにおいても、追い越し車線を走ることにお金を払うとはアメリカならではの合理主義か?



山道を抜けると広大な景色が視界に広がってきた。
内陸のカリフォルニアらしい、想像していた通りの砂漠風景だ。
どこかに停車して風景写真でも撮りたいが、トラックの大きさを考えると安易に停められる場所が見つからない。先を急ぐとしよう。



目的地のエリアの近くまできたので、買付けを行う前に少し腹ごしらえをしておこう。
やはりここでもメキシコ料理にすることにした。
他に選択肢が無いわけではないが、カリフォルニアで食べるメキシコ料理に失敗は少ない。



店内では、体格の良いシェフとウエイトレスが笑顔で出迎えてくれた。
家庭料理の味が期待できそうな雰囲気だ。



想像していた量の1.5倍サイズのトルティーヤプレート。
味は期待通り美味しかった!
しかし量はちょっと多かったな…。



足早に昼食を済まし、目的地の近くまで来た。
家具屋の倉庫をイメージして来たが、住宅地のような場所だ。



目的地に到着。
ディーラーの自宅の一角を家具の倉庫にしているようだ。
トラックから降りると、家の中からディーラーのカルロスが出迎えてくれた。



彼が住む住居のガレージや裏庭が倉庫として使われていて、建物の脇には作業場も併設されている。



作業場に置かれたリペア途中の家具をみるからに腕は良さそうだ。
細部まで丁寧にサンディングがされている。



案内された裏庭にも倉庫があり、そこには家具が山済みに保管されていた。
砂漠地域の土地柄なため、家具は全て砂埃に覆われていて、動かすたびに埃が舞い上がり視界が悪くなる。
なんだか遺跡を発掘しているような気分だ。



コナンボール社製のコーヒーテーブルを発見。
先日フリーマーケットで買い付けたダイニングセットと同じシリーズのものだ。
テーブルの下に抽斗も付いていて使い勝手が良さそう。

倉庫内には他にも所狭し家具が保管されている。
価値の高い家具も点在しているが、コンディションが悪い。リペアにそれなりの手間と費用が掛かりそうだ。
中にはリペア済みの綺麗な家具もあるが、価格が高くて手が出ない。

彼らのビジネススタイルは、ネット情報を駆使して安く売られているヴィンテージ家具情報を探し出し、遠方まで買い付けに行き、丁寧にリペアを施して仕上げた家具を販売することにより利益を創出しているようだ。
この業界では当たり前のビジネススタイルではあるが、彼らの商品クオリティを見るからに相当の努力がそこに感じられる。



ほかにも気になる家具がいくつかあったが、コンディションや価格の面でなかなか折り合いが付かない。
今日は、コナンボールのコーヒーテーブルと数点の箱物家具を買うのが精一杯だ。
時間を掛けてここまで来てみたものの、期待を下回る結果であった。
以前、恩師に「転んでもタダでは起き上がるな」と指導されたときの言葉を思い出した。
買付けが不本意な結果であれば、情報でもなんでもいいから持ち帰ろうと思い、どこか良い買付け場所を教えてくれないかと聞いてみた。
明日の朝、サンディエゴで興味深いフリーマーケットがあるらしい。
年に三回のみ開催されるマーケットで、私達が探しているテイストの家具も出品されるだろうとの事だ。
明日は別の予定を立てていたが、予定を変更してサンディエゴに行くことにしよう。
明日の結果が良ければ、今日の努力は無駄にはならないかな。
カルロスにお礼を言い、この場を後にした。



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