The Second-Hand Shop

世界のリサイクルショップ -イタリア編- #8

Contributed by Fumito Kato

Trip / feb.28.2020

雑誌、広告などの撮影の傍ら、世界各地のリサイクルショップを巡り、その国のカルチャー、埋もれゆくプロダクトの発掘をライフワークとして活動しているフォトグラファー加藤史人さん。今回、彼が訪れたのはイタリア。旅先で出会った魅力的なヴィンテージアイテムや食べ物の数々は、必見です。

#8

10/9(wed)

最良のディナーは棚上げとした。
猫の舌のような食感のパスタは魅力的だが
次の店の品揃えは見過ごすことができない。
買付旅は、食欲より物欲が優先される。

18:40
滑り込みで本命の店に到着。
ここ、Cose d'altre caseは、
マルコ・ジーノ氏が2009年に設立した
委託形式のリサイクルショップ。
2002年からこの事業を始め、
モデナに支店をオープンした後、
満を持して、ボローニャ駅に程近い
この場所に本店を構えたそうだ。





2Fは古着や靴などのアパレル、
1Fには生活雑貨や書籍、古道具
そして、巨大なショーケースが並ぶ。
このショーケースの中身が凄い。
スタッフがこれぞとセレクトしたもののみが
鎮座する、正に掘り出し物の宝庫。
私がPeugeot GI(コーヒーミル)を
初めて手にしたのも、
このショーケースの中からだ。


コレクター向けブースも各ジャンル充実。





今回はコーヒミルをいくつかと
AT製のチーズカッターを捕獲。
このATは、かつて美しいコーヒーミルを
数多く世に送り出したメーカーだが
当時の情報や資料がほとんどなく
全てが謎に包まれたままであった。
しかし、今回チーズカッターの
ロゴから"Caudano TORINO"という
キーワードを発見。トリノからミラノ周辺は
古くから生産業の盛んな地域。
そして、トリノはヴェネチアと並び
カフェ(バール)カルチャーの中心である。
これは、そろそろ現地の取材に
行かなければならないようだ。


収穫物。レアなETERNOのコーヒーミルも。

閉店時間にレジに並んだので
流石に今日の取材は難しいと思い、
明日の取材を申し込んだところ
「今からでもいいわよ」と店長さん。
駆け足で撮影をさせていただいた。

店長のリサさんは英語が堪能で
日本に13回来たことがあるほどの日本通。
そして、65年型のBianchina(最高)を
愛車とするほどの、生粋のビンテージ好き。
次回、訪れた際は乗ってきてもらおう。


相棒のエルモはこの店で生まれたそうな。

夜間の取材のため、撮影できなかったが
店内にはバール、外にはテラス席もあり
掘り疲れたハード・ディガーたちの
オアシスとなっている。
予想はしていたが、この店の
リサイクルショップとしてのクオリティは
イタリア全土でも屈指のものであった。


Cose d'altre case
Via della Beverara 10, 40131 Bologna
営業時間:10:00〜19:00
不定休


21:00
ボローニャ市街から車で1時間弱、
ヴィニョーラの街に到着した。
Rocca di Vingoraと呼ばれる中世の要塞が
そびえ立つ街の中心部は、なかなか洒落ている。
が、もう少し先の住所をナビは示していた。
到着した場所は、うらぶれた街はずれのビル。
隣のナイトクラブには爆音のヤン車が
ひっきりなしに出入りし、1FはSex Shop。
そして、2Fが今日の宿だ。
郊外カルチャーは万国共通。
そして、なぜか落ち着く郊外育ち。

チェックインを終え、街へと繰り出す。
例の要塞の中にオツなトラットリアが
あるとのことだったが、探せど見つからず。
これまた爆音を放つバーガーショップと
触手の伸びないピッツェリアがあるのみ。
仕方なく、宿の方向に戻ったところ
灯りが点いたリストランテを発見。
ここにしよう。腹減った。

メニューにトルテリーニの文字を必死に探す。
"Tortellini en Brodo alla Modenese"
あった!モデナ風?まあ、いっか。
閉店間際、しかも季節外れの注文に
厨房は慌てたのかもしれない。
(トルテリーニはクリスマスの食事らしい)
供されたパンをひたすら貪り、待つこと30分
ついに、トルテリーニが目の前に出された。



チキン&ビーフ・ブロスは優しい味だし
肝心のトルテリーニも猫の舌までとは言わないが
まあまあだ。だが、この料理、なぜか既視感がある。
ああ、水餃子。スープ入りの水餃子だ。
味は違えど、正にあのミニチュア版。
もしも、ネギがパラっとされていたら、
Soup dumplings以外の英訳が見つからない。

今や、都会に住みさえすれば
イタリア中の料理にありつくことができる。
しかし、このトルテリーニも含め、
イタリアには何世代にも渡って
各家庭の台所でのみ伝えられてきた
マンマの料理が数多くある。
それらの真髄は、ちょっとやそっとの
修行で再現できるものではないらしい。
かのマリオ・バタリ氏がその味に惚れ、
(先日、セクハラで告訴されたNY料理界の巨匠)
修行するも、再現できなかった味が
私がパスしたポッレッタにはあるそうだ。

もし、あなたがパスタに強い執着があり、
ボローニャとフィレンツェの間の山あいまで
車を飛ばす気合いがあるのならば
ぜひ、カパンニーナに行ってほしい。
そして、あなたに気を許す猫が身近にいたら
本当に猫の舌のような食感なのかを
確かめていただきたい。
そのパスタを作る張本人は
ディナーの時間帯にのみ腕を振るうそうだ。

La Capannina
Via del Parco 3, 40045 Granaglione
営業時間:
19:00〜23:30(月、水〜金曜)
12:00〜23:30(土、日)
火曜定休

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