木曜日にはPea SoupとPancakeを

Que Será, Será #13

木曜日にはPea SoupとPancakeを

Contributed by Sara

Trip / 2024.03.19

『旅が私を変えてくれた』
バックパッカー、1人旅、そして留学。現地に足を運んだからこそ見えてきた、それぞれの国でのそれぞれの暮らしかた。「なるようになる!」をモットーに旅をし続ける大学生saraさんの、「旅の記憶」をシェア。


#13


イギリスでのクリスマスを終えて、スウェーデンに戻ってきた。

そのあとは次のセメスターがはじまるまで、束の間のホリデーシーズンを大満喫。北欧一人旅に来ていた大学の先輩と合流して年末年始を過ごしたり、年明けにはフランスに飛んでパリでは高校の友達と、リヨンでは大学の友達と集合したり……。世界のいろんな場所で会える、それもとびっきり楽しくて特別な時間を過ごせる人が周りにたくさんいてくれること、本当に幸せだな。


先輩が持ってきてくれた年越しそば


そんなスペシャルな日々もあっという間に過ぎて、次のセメスターがやってくる。まだ雪が続く街に戻る。授業がはじまる。そんな私のウプサラ生活に欠かせないことがもうひとつ。
それは、去年の10月からはじめたカフェでのスタッフだ。ウプサラ特有の学生文化であるNationが運営するカフェで週2日働いているのだ! 働くといってもお金の報酬はなくて、その代わりにフードを無料でもらえる権利や他のイベントへの招待券を受け取る制度。


ユニフォームの黒Tシャツ


この制度はスウェーデン人との繋がりを求めていた私にとって、もってこいのチャンスだった。
英語で進められるクラスのほとんどはスウェーデン以外の留学生。寮に住むのも留学生ばかり。スウェーデン人と関わるきっかけを作りたくて、このカフェでのスタッフを始めることを決めた!


みんなで参加したカフェのクリスマスパーティー



オープン前は真っ暗



朝はビュッフェ


カフェでのスタッフを初めて、スウェーデン特有の食文化に触れる機会が増えた。まずはこの歯磨き粉みたいなチューブ。「キャビア」と呼ばれるピンク色の魚卵ペーストが入っている。これをゆで卵につけるのがスウェーデン流。



ある日、みんなのお父さんのようなNationの掃除スタッフに「外国人は大抵おいしくないと言うからサラの反応を見てみたい!」と言われ、試してみることになった。彼が言うように国外では酷評らしく、生産会社が実際に世界中で試食させて、人々が嫌がる動画が何本もあるほど。

そんなイメージもあってか、あっという間に私の反応が気になるスウェーデン人5、6人に囲まれながら(ちょっとドキドキしながら)、一口食べてみた。クセのある味を想像していたのだけど……なんと、たらこと似た味がした! というか、もうたらこそのものだった。みんな不快がる私を予想していたけど、すごく気に入っておかわりした私のリアクションは、とっても不思議がられた。いい調味料を知れた瞬間だった!


それ以降、私の朝ごはんにはいつもキャビア


そしてもう一つ、私がだいすきな文化が木曜日のPea SoupとPancake。黄色の豆スープとクレープのように薄いパンケーキを食べるのだ。この起源は16世紀まで遡る。スウェーデンは日本や韓国と並んで宗教色が弱い国と言われているけれど、今よりも信仰が盛んだった当時、金曜日の断食が主流だった。その前に栄養をつけるために食べるようになったのが始まりらしい。


黄色の豆スープ



パンケーキかなり薄め


とにかくスウェーデン人はこの木曜日のランチメニューがだいすき。毎日オープンしているカフェで、長蛇の列ができるのは決まって木曜日。好き嫌いに関係なく昔からの習慣としてみんな好んでいるみたい。

カフェでのランチはスウェーデン料理以外にもカレーやヌードル、パスタの日もあってバラエティに富んでいる。必ずヴィーガン用のメニューもあるから、ノンヴィーガンとヴィーガン、2種類楽しめるのも嬉しい。


左はヴィーガン用のインド風炒め物。右はチキンのハーブソテー



タコスデー


こんなふうに住んでみなきゃ、その中に入り込んでみなきゃわからないことを知るたびに、とっても嬉しくなる。世界中のごはんを食べることがだいすきな私にとって、このカフェでスタッフをはじめたことは完璧な決断だったと思う。

人にも、食にも恵まれているウプサラ生活、最高だな。ぜんぶに感謝しながら後半戦も楽しみたい。


それでは、またね!



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