unusual #1

客引き

Sri Lanka

Contributed by YUKA

Trip / oct.03.2019

心配性で慎重なわたしは不安だった。

だって初めての一人旅で、初めてのアジア。

2週間分の荷物が入っているバックパックはすごく重く感じるし

首から斜めにかけるNikonのF3もとにかく重い。

ウエストにはパスポートとクレジットカードともらった旅守りを入れたシークレットベルトをしっかりと締めていた。

「まずは両替」ゲートを出ると、まるで関門のように横に並んだ4つの両替所がわたしを待ち受けていた。

どこもレートは変わらないみたいだったから、1番最初に目があったおばちゃんのところで必要最低限の両替を済ませた。

両替所の向こうは待合席のような広場になっていて、すごい数の人々がこちらを向いてずらっと座っている。

まるで獲物を見定めるかのように、両替所を通過したツーリストたちをじろじろと見ていた。

広場を抜けると、雨季特有のじめっとした空気と赤道に近いだけあって焼けるように強い日差し、自分のタクシーに、トゥクトゥクに、是非とも乗って欲しい人々の激しい客引きと熱気。

一瞬で見事に汗をかいた。

ウエストで汗だくになるシークレットベルトを想像して、とにかく防水のものを購入して本当に良かった。

最初の目的地である Galle にはバスで向かう予定だったのに、時刻表もなければ、そもそも運行時刻という概念がなく、バス乗り場なんてのもはっきりしていない。

あとで知ることになるのだが、バスは人が十分に乗ったら出発するルールとのこと。まったくもって自由だ。

客引きをかき分けて、空港の警備員にGalle行きのバス停を尋ねると空港から少し離れたそれをとても大雑把に教えてくれた。

「向こうの方」という情報だけを頼りに少し歩いて見たものの見つからず、

困り果てたわたしに、同い年くらいのお兄さんが「どこへ行くの?」と話しかけてきた。

ついに英語を少し喋れる人が現れた。第一村人!

今までの流れを話すと、首都のColomboからGalleまで高速バスが出ているから

空港があるNegomboからColomboまではトゥクトゥクで連れて言ってあげる。とのこと・・・

きゃ、客引きだ。

五感を研ぎ澄まして悩んだ。このお兄さんを信じるか否か。

リスクを考えるとできれば信用しない線の方が優勢だったが、

また戻っても正確にバス停を教えてくれる人もいなそうだし、なんせあの熱気の中に戻るのに少し嫌気がさしていた。

「信じてみよう」苦渋の決断だ。

最初に値段を決めて、これ以上は絶対に払わないからねと念を押し、堂々と彼のトゥクトゥクに乗った。



国は違えど、相手は人だ。

もし、山奥へ連れて行って身包み剥いで八つ裂きにする気なら、仲良くなって見逃してもらおう。

そんな作戦。

今思えば、甘すぎる作戦もこの時は真剣に出したものだった。

トゥクトゥクに乗っている最中、とにかく話しかけて、場を盛り上げて、彼を褒めた。

わたしの小さな抵抗は功を奏して、気分が良くなった彼は途中でココナッツウォーターやライチをご馳走してくれたり

スリランカの交通状況とは裏腹にわたしたちのトゥクトゥクは終始和やかな雰囲気だった。

湿度を十分に含んだ空気も風になると気持ちがいい。

トゥクトゥクはドアがないから風がよく入ってきて、屋根はあるので陽を避けることができて

到着する頃にはじっとりとかいていたわたしの汗を見事に乾かしてくれていた。



降りるときに過剰請求されるのかなと少し心配だったがそんなこともなく。

お金を払うと、サヨナラのハグとキスもしてくれとせがまれたけど

笑って投げキッスをお見舞いしてGalle行きの高速バスに乗った。

アユボワン

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