小さな日常の出来事3

Flohmarkt am Wochenende!! #10

小さな日常の出来事3

Contributed by Kyogo Hidaka

Trip / 2023.10.16

日本から飛び出したくて2週間後に行くと決めたドイツ・ベルリンの街。肌で感じた現地の“mood”、そこには自分が知らずに求めていた“余白と自由”があった。フォトグラファー・Kyogo Hidakaさんが今でも大切に持ち続けている、あの頃の色褪せない記憶たち。

#10




休日の昼過ぎまで寝て起きた午後、キッチンへ行くと冷え切ったペンネがフライパンにあった。隣にはメモ紙で食べていいよと書いてある。ルームメイトが朝作っていたみたいだ。トマトソースとチーズとベーコン、緑の葉っぱがいい具合に絡み合っていて、とっても美味そうだった。ぶっ通しで寝ていたせいかお腹はしっかりすいていたので、ありがたく頂くことにする。レンジがないのでフライパンで温めなおして、そのまま食べた。

その日は夕方から友達と集まって、ベルリン映画祭に合わせて開催中だった『short movie week』が行われている小さな映画館へ向かった。





主にヨーロッパ各地の国から出展された短編映画をまとめて5、6本観ることができるイベント。
シアタールームに入ると、1つも統一されていない椅子が40〜50席ほど並べられていて、椅子によってクッション性や背もたれの角度は様々だった。座席の指定はなかったため、これから2時間程度座ることを考えるとなるべく良い椅子をチョイスしたいと考えたが、クオリティの高い椅子達はもう既に座られていた。僕もそうだが、その後も座り心地重視で座席が埋まっていく様は見ていて面白かった。
映画の内容は様々でしっかり作り込まれているものもあればギャグ映画もあった。内容だけでなく言語も様々。作品の色味や撮り方、ファッションやインテリアを観て楽しんだ。








ベルリンには『C/O Berlin』という写真美術館がある。滞在中は開催している展示をよく見に行っていた。入館すると展示コーナーの手前にはお土産と一緒にたくさんの写真集がどれも試し読みできる状態で並んでいる。今まで読んだことがなかった写真集や現地の若手が作成しているzineもたくさん見ることができた。
その年の9月にロバートフランクという写真家が亡くなったことでフランクの写真展も開催された。彼はスイス人でアメリカに渡り、当時のアメリカのリアルな姿をストレンジャーの目線で捉えた有名なモノクロの写真集がある。展示会ではその時の写真もたくさん並べられていて、今まで何度も見た写真たちだったが改めて外国人という立場になった今、ベルリンの地で見ることでこれまで以上に深く写真に入り込むことができた。







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