ねるとあやのロンドン紀行

Greenfields I'm in love #53

ねるとあやのロンドン紀行

Contributed by Aya Ueno

Trip / 2021.11.19

直感を信じ、ドキドキするものに向かって走り続ける神戸出身のAya Uenoさんの連載「Greenfields I'm in love」。自分探しも兼ねたロンドンでの留学生活で、自分の目で見て、肌で感じたありのままの日々の記録をお届けします。

#53

ロンドンにいながら、ロンドン旅行とかロンドン紀行とか書くのには、別の場所へ移動しているようで若干違和感がある。もっといい言葉はないのだろうかと思うのだけど、残念ながらうまく表せる言葉が思い浮かばなかった。

本題に入ろう。今回は、わたしの大好きな友達、ねるがロンドンを訪れてくれたときのお話。幻想的で、夢だったのかと思わせられる三日間。ねるはパリの学校に通っているのだけど、連絡をとっていたら、急にこっちに来ると言って2日後、本当にふらっとやってきた。
約束の場所、ピカデリーサーカスに行くと、ニコニコと上機嫌のねるが姿を現す。ロンドンにねるがいる! 嬉しかった。

おなかが空いた私たちは、彼が昔(かつてはロンドンの学校に通っていた)よく行っていたという中華を食べに行くことに。彼はレストランの名前を調べて、地図と睨めっこするような人じゃない。数年前のぼんやりした記憶を頼りに、フラフラ〜っと歩き、「あった」と行って中華屋さんの前で立ち止まった。
他愛もない会話をしながら食べる、ねるが高校生くらいの時に食べた中華。わたしまで何だか懐かしい気持ちになる。
食べ終わった後は、前にも行ったthomas's へ。リージェントストリートにある、バーバリーのフラッグストアに併設した、バーバリーのカフェだ。前と違うのは、まりかがいないこと。まりかがいたらいいのに…! 彼女はボスキャリのために、アメリカへ行ったのだ。

ころっとした丸みがかわいいトーマスのスコーン。



8時か、9時か、思ったより早くカフェが閉まった。私達はまたとことこ歩いて、今度はThe SAVOYのラウンジでお茶をする。ラウンジの真ん中で大きな音量で演奏されるシャンソン。音調は穏やかなのに、隣に座るねるの声も聞きにくいほどボリュームが大きい。失礼ながら、もう少し静かにして欲しいと思ったけど、高級ホテルのラウンジで、人に聞かれてはいけない秘密のお話をする人たちの為に、彼らの声が外に漏れないよう、敢えて大音量で演奏している。と、ねるが言っていた。

紅茶のお供に、美味しいクッキーがついてきた!



同い年のはずなのに、幅広い分野の経験やそれに伴うコモンセンスに加え、どこで仕入れたのかと思うようなこんな小ネタまで、彼は数え切れないほど知っていて、それを聞くのがいつも本当に楽しかった。そして少なくとも5000回くらい、いやきっとそれ以上、"ねるは本当はずっと昔から生きているんじゃないだろうか"と戸惑うのだ。
最後にクロークルームで2ポンドコインを渡し、預けていたコートを受け取った。キャッシュレス社会のロンドンだけど、ホテルの古き良きマナーとして、この文化はまだあるみたい。

次の日はアフタヌーンティーへ! ねるが予約してくれた老舗ホテル、コンノートへ向かった。ついてみたら、ホテルは思ったより狭く、でも奥行きがある。居心地がよいのはねるの家にもある、シールトゥルドンのキャンドルのせいだろうか。
程なくして、ホテルに入ってすぐ手前にあった素敵なバーラウンジへ案内された。コンノートのアフタヌーンティーはロンドンでも上位で人気だ。でも、今まで行った中で1番落ち着いていて好きな感じ! お客さんも観光客は目立たず、品があっていやらしくない地元のお金持ちみたいな人が多く、私は人間観察を楽しんだ。
雰囲気だけでなくて、ここのアフタヌーンティーはこれまで行った中でもいっちばん美味しかった! ひとつひとつちっちゃなポーションのケーキたちも、温かいキャラメルソースと一緒に食べるメープル型のクッキーも、本当に美味しい。

サンドイッチはプレートに乗って運ばれてきた。



この日、通りは歩行者天国で、なにやら車のフェアをしていた。”僕の車に乗ってみなよ!”



夜は、ホームステイ先の両親が友達のお誕生日会に出かけるからと、前々からポールとリリーと寝かしつけを頼まれていた。そんなこんなで、ねるもわたしのいーリングの家に来てくれた。
ねるは仲良くならない限りは人に感情をあらわにするタイプではないし、好き嫌いもはっきりしている方だ。リリーはともかく、ポーリーはすごくうるさいし、苦手だったらどうしようと少し不安だったけど、嬉しそうにニコニコしながら子供たちとたくさん遊んだり、写真を撮ってくれて嬉しかった。

ねるが撮った写真。



フィルムの入ってないカメラとポーリー(彼はフィルムが入っていないことを知らない)



ポーリーもねるがきて嬉しいみたい。



次の日、The wolseleyでブランチを。リッツの隣にあり、雰囲気の良い老舗のレストランだ。いつも混んでいて、この日も1時間待ってと言われた。わたしとねる散歩が大好きだから全く問題はない。イギリスの素敵な豆知識を知ったねると、人一倍好奇心の強い私たちには持って来いの歴史があり楽しい通りだ。あちこち歩き回ったり、無骨なビルの壁に張り付いた梯子を登ったり、よく見れば見るほど深まる謎を追求しながら待ち時間を楽しむ。




何もなかったって。
続きはまた来週!


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