Greenfields I'm in love #28
まりかと再会、ねるとの出会い。
Contributed by Aya Ueno
Trip / 2021.02.26
#28
ある日学校の課題で、クラスのみんなにプレゼンをすることになった。お題は自由だったから、わたしは「お箸のマナー」について発表した。
調べてみれば、お箸一つにも本当にたくさんのマナーがあり、中には私の知らないものも。例えば、わたしが今まで平気でしていた迷い箸(恥ずかしながら、この行為に名前があったことさえ知らなかった)はタブーだったのだと知った。
「日本人のわたしも知らないものもあったから、知っていたら人をびっくりさせられて楽しいかも!ぜひ参考にしてね!」と締めくくり、プレゼンを無事終えた。昨日の夜、鏡の前で表情やジェスチャーまで練習を重ねただけあって、みんなの反応は思ったより良く、先生にもすごく褒めて貰えてうれしかった。
さらにこの日は金曜日。語学学校だから、毎週金曜日は誰かしらがコースを終えて母国に帰ってしまう。この日は仲良しのドイツ人、マヤという子の最終日だった。英語が上手く、とてもかわいいマヤ。ドイツ人らしく意思がはっきりしていて、意見するのに物怖じしないところが好きだ。マヤがプレゼンで席を外した隙に、彼女のリュックにポストカードとギフトを忍ばせた。
学校が終わって、わたしが向かったのはホルボーン駅を越え、一駅先のセントポール大聖堂の方。パリからまりかとねるがやってきて、ついさっき、その近くのホテルに到着したのだ。ママと電話を繋いで話しながら歩いていたら、一駅なんて一瞬だった。
ホテルについて2人と対面。まりかとは1ヶ月ぶり、ねるとははじめまして。電話越しにしか話したことがなかったのだけど、なんだかずっと前から知っているような気がした。
私は少し前フィルムカメラをゲットしたことを電話で話していて、まりかも購入を考えていたから、またホルボーンへ戻り、私がカメラを手に入れた、大好きな"The Classic Camera"へ行く。かつてわたしのカメラが置いてあった場所は空っぽになっていて、他に2つカメラがあった。まりかはそのうちの1つを購入。まりかのカメラは、わたしのよりコンパクトで、レンズが出てくる動作が特徴的。すごくかわいい。
私たちはまた地下鉄に乗って、ボンドストリートで降りた。F&M(日本でもある有名な紅茶屋さんだけど、私はまだ行ったことがなかった)でお茶をしながら、日曜日のアフタヌーンティーを予約する。残念ながら有名どころは満席だったのだけど、素敵なところを予約できた。まりか、初のアフタヌーンティー。楽しみだ。
イギリスではよく見る、ヴィクトリアスポンジケーキ。
そのあとは近くの由緒ある帽子屋さんや薬局、ロイヤルアカデミーオブアーツなど、物知りのねるが色んなところへ連れていってくれて、ぶらぶらした。この辺の街並みはとても綺麗だ。そういえばなんと道中、俳優の浅利陽介さんをお見かけした。彼はすごくフレンドリーで優しく、写真まで撮ってくれた!
帽子屋さん。
この帽子買おうかな?
可愛いブーケを見つけた。
まりかとねる。RAのオブジェの隙間から。
ねるがRAについてたくさん教えてくれた。
そのあとは、バスに乗って、閉園したナショナルギャラリーを訪れ(私たちは閉園してるとは思っていなかったのだけど)自転車を借りて、サウスケンジントンまでみんなでビュンビュン風を切ってペダルを漕いだ。
夕陽がとっても綺麗だ。私たちはメインストリートから少し外れた、車や人通りが少ない道ばかりを選んで、とにかく自転車を漕ぎまくった。景色も、風も、何もかも最高で、まるでほろ酔いの時みたいに、私は最高に気持ちよかった。
信号待ちで、まりかが撮ったねる。
V&Aの目の前で。可愛く撮れた!
可愛い2人。
わたしとまりか。閉園間際のV&A美術館に入り、ぐるぐると歩き回る。何が楽しかったのか、私たちは終始笑っていた。
そのあとはねるが大好きなシュリンプ屋さんで夕食を食べ(実はわたしは食べず嫌いでシュリンプが得意ではなかったけれど、試してみると案外いけた)、2人と別れて家に帰った。
帰ったらグループラインにねるが写真を入れてくれていたから、一人で今日を振り返る。本当に素晴らしく、完璧で、まるで映画の中に迷い込んだような、そんな素敵な1日! 彼がライカで撮ってくれた写真は、今でも見返すたびにあの時間を呼び起こして心をドキドキさせる。白黒でしか撮らない彼の写真がわたしは大好きだ。
明日も明後日も楽しみ。これから私たちは国境を越え、たくさんの時間を一緒に過ごすことになるのだけど、この記念すべき最初の日から、三つのバラバラのピースがピタッとハマったような特別な空気感があった。
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Aya Ueno
兵庫県神戸出身、東京在住のWriter/Photographer。学生時代に渡ったイギリス留学を機に、人や、取り巻く空間を魅せる表現に興味を持ち、現在Containerをはじめ、カルチャー、フードメディアにて発信中。
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